大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第52号− 2007年12月27日発行


2005・2006年の石綿労災の実態が浮かび上がる

 12月3日の毎日新聞(朝刊)に、石綿に関する記事が数ページにわたり掲載されていました。2005年6月のクボタショック以降1年ほどは石綿の記事がよく掲載されていましたが、最近はめっきり減っていましたので、何が起こったのかなと思った方も多いと思います。この記事では、地域別・業種別に石綿労災として認定された事例数などを詳細に記載していました。ただし、厚生労働省の発表ではなく、患者支援団体である中皮腫・じん肺・アスベストセンターの解析したデータです。

 2005年7月と8月に、厚生労働省は石綿労災が発生した事業所名などを過去分を含めて発表しています。クボタショックを受けて、工場の周辺住民や過去の勤務者、そして健康対策を立てる自治体への適切な情報を提供することが必要だと判断したためです。つまり、周辺に居住していた方や同じ工場に勤務していた方がその事実を知ることで、適切な健康管理を行うことができるようになりますし、また、既に肺癌や中皮腫に罹患した方がおられれば、その原因に思い至り、労災や石綿被害者救済法の申請を行うようになります。

 このように、事業所名の公表は、国民の健康管理や患者の救済に重要な役割を果たすのですが、その後、患者支援団体の再三の要請にもかかわらず、厚生労働省は新たに石綿労災の発生した事業所名については公表していません。このため、業を煮やした患者支援団体は情報開示請求を行いました。厚生労働省から入手できた書類は、事業所名は黒塗りになっていましたが、認定した労働基準監督署名、業種名、疾患名はわかるようになっていたため、これらのデータを半年かけて解析した結果、被害実態が浮かび上がったというものです。

 新聞記事によると、2005年および2006年の石綿労災認定数は3478人であり、業種別では、建設業が1418人でもっとも多く、次いで船舶製造業455人、輸送用機械器具製造197人でした。地域別では、兵庫県、大阪府、広島県、長崎県などが多いことがわかりました。大阪府内では、東大阪労働基準監督署管内(東大阪市・八尾市)が45人ともっとも多く、次いで岸和田労働基準監督署管内(岸和田市・貝塚市・泉佐野市・泉南市・泉南郡・阪南市)が37人、大阪南労働基準監督署管内(住之江区・住吉区・西成区 阿倍野区・東住吉区・平野区)が31人、堺労働基準監督署管内(堺市(美原区を除く))31人、大阪西労働基準監督署管内(西区・港区・大正区)27人と続いています。ちなみに、クボタのある尼崎労働基準監督署管内(尼崎市)は112人でした。これらの人数は仕事で石綿を取り扱ったために石綿関連疾患になったと認定された事例です。工場周辺住民の被害は含まれていません。

 この新聞記事発表の翌日の参議院厚生労働委員会で舛添厚生労働大臣は「2008年春までに、事業所名を開示する」と述べています。

(生活衛生課 熊谷)


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