大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第52号− 2007年12月27日発行


環境中の変異原物質の検出に関する研究

 私たちの身の回りの環境中には、がんを引き起こす放射線、ウイルス、環境汚染物質などが存在します。これらの発がん性のリスクを評価するために、動物実験に代わる変異原性試験が用いられています。変異原性試験の目的は、比較的簡便な短期間の試験により、化学物質の遺伝毒性を検出し、それに基づくデータから発がん性および次世代への遺伝的影響について予測することです。現在、細菌を用いる復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体試験およびげっ歯類を用いた小核試験が、主な変異原性試験法とされています。

 1985年、当研究所でサルモネラ菌を用いた簡易なumu試験と名付けた短期変異原性試験を開発しました。この試験を用いて、河川、土壌、大気などの環境試料、食品に含まれるアミノ酸、糖類の加熱物質、脂肪酸の加熱により生じる脂質過酸化物、生体内でカルボリンとアニリンとの反応により生じる物質などの変異原物質を検出しました。最近では、この方法を改良したマイクロプレートを用いて多検体の微量の試料でも検出できる試験法(ハイスループット法)を確立しました。さらに、サルモネラ菌体内でヒトの薬物代謝酵素を発現させた新規のumu試験菌株を開発し、発がん性芳香族アミン、ディーゼル排ガス中に存在するニトロ化合物、植物に存在するアルケニールベンゼンなどが検出できることを明らかにしています。これらの研究からumu試験は、多くの利点を備えており、実用的かつ応用範囲が広いため、環境、医薬品、食品、人体などの試料で利用できる有用性の高い試験法であると考えられます。

(ウイルス課 小田)


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