大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第56号− 2008年4月30日発行


「リケッチア症」ってどんな病気?

 「リケッチア症」?・・・ここでは、このあまり聞き慣れない感染症について簡単に紹介しようと思います。リケッチア症はその名のとおりリケッチアという病原体に感染してかかる病気の総称です。リケッチアは生きた細胞の中に寄生する非常に小さな細菌の仲間で、その中には多くの種類があります。わが国にはツツガムシ病、日本紅斑熱、発疹熱というリケッチア症がありますが、それぞれツツガムシ病リケッチア、紅斑熱群リケッチア、発疹熱リケッチアによって起こる病気です。

 リケッチアは、もともと野山に生息するダニやノミが持っていて、私たちが野山に出かけた時に、たまたまこの病原体を持ったダニやノミに刺されると感染します。ツツガムシ病を媒介するのはツツガムシというわずか0.3mmほどのダニの幼虫で(下写真の左)、日本紅斑熱の場合はマダニ(肉眼で見える大きさです)が媒介します(下写真の右)。また、発疹熱はノミが媒介します。



 リケッチア症の症状は、高熱、発疹、頭痛、倦怠感などで、リンパ節が腫れることもあります。ダニが刺した部位には「刺し口」と呼ばれるかさぶたのようなものができます。幸い、よく効く抗生物質があるので、この病気であることに気づけば治療できますが、気づかないまま経過すると重症化したり、最悪の場合は死亡することもあります。

 全国的にみると、ツツガムシ病は数百名、日本紅斑熱は数十名の患者が毎年発生しています。大阪府でも1987年以降、数は少ないですが散発的にこれらの患者が発生しており、私たちは、野山に生息するダニの調査やリケッチア症が疑われた患者の確定診断検査を行っています。これまでに調べた症例では、野外キャンプやゴルフ、山林での草刈り、山芋掘りなどが感染のきっかけとして推定されました。また、患者が多く発生している他の県や外国に出かけて感染し、帰ってきてから発症したと思われる例もあります。

 野山でダニに刺されたからといって、必ずリケッチア症になるわけではありませんので、むやみに心配する必要はありませんが、こんな病気があることを頭の片隅へとどめておいていただければと思います。最後に、野山へ行く時の注意事項を挙げてみますので参考にしてください。

  1. 長袖、長ズボン、帽子、手袋等を着用し、できるだけ皮膚を出さないようにする(暑い時は大変ですが・・・)。また、服装はできるだけ明るい色のものを着用する(虫やダニを見つけやすい)。
  2. 虫よけスプレーを携行し、必要に応じて使用する。
  3. 山林・草地・藪などへ立ち入った後は、必ず入浴してよく洗い流し、虫に刺された跡などがないか確認する。
  4. 万一、山林・草地・藪に立ち入って数日〜一週間後に発熱、発疹等の症状がでた場合は医療機関で野山での活動について詳しく申告する。
 (ウイルス課 弓指 孝博)


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