大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第57号− 2008年5月30日発行


効率的な生活排水処理事業手法に関する研究

 大阪府域で発生し、河川や大阪湾に流入する汚濁有機物量(BOD量)の約4割は未処理の生活雑排水に由来すると言われています。生活雑排水を処理する方法には、大きく分けて下水道などの汚水を集めて処理をする集合処理と浄化槽のように各戸ごとに処理する個別処理があります。集合処理は人口密度の高い地域では効率的な整備手法ですが最終の処理場側から整備していく必要があるため、多大の費用を必要とする管路施設が最初から必要となります。大阪府の平成18年度末の下水道普及率は92.1%であり、人口密度の高い地域の整備から人口密度の低い地域の整備に移りつつあります。

 次に、大阪市と堺市を除いた府内41市町村の平成18年度末の集合処理人口と平成42年の推計人口(国立社会保障・人口問題研究所、平成15年12月推計)の関係を図-1に示します。図から分りますように過半数を超える23市町村ですでに平成18年度末の集合処理人口の方が将来推計人口を上回っています。今後はより少子高齢化が進んだ地域が整備対象となりますので、費用対効果を考えると浄化槽の役割が大きくなると考えられます。

 浄化槽整備を市町村が行う方法として民間の資金とノウハウを活用し、公共の財政負担の軽減や住民サービスの向上をはかるPFI方式が平成16年度から導入されました。しかし、PFI方式を導入するには、事業を始めるまでの手続きや検討内容が複雑なため、特定事業として採択されたのは平成19年度末において全国で10事業と少ない状況にあります。

 大阪府内では、当所も協力して、富田林市がPFI手法による浄化槽整備事業を採択しています。これらに基づき開発したツールによる研究結果では、公共が設置と維持管理を行う従来法に比べて市の財政負担額の現在価値が44%削減できると試算されました。これは、「大阪府版浄化槽PFI事業導入ガイドライン」と費用をかけずに財政削減効果(VFM)について、必要な手順の具体的なシミュレーションを可能にしたことにより求められました。今後、同様の課題をかかえる自治体において、容易にPFI事業の適用に対する検討が行えるように、当ツールを5月末に府内各市町村に配布し、活用していただく予定です。


*PFI(Private Finance Intiative):

 民間の資金と経営能力・技術力(ノウハウ)を活用して公共施設等の設計・建設・改修・維持管理・運営を行う公共事業の手法です。

*VFM(Value For Money):

 PFIで行った場合、従来の公共事業に比べて何%コストダウンできたかを示す割合です。設計・建設と事業期間中の維持管理費など事業に係るすべての費用の現在価値で比較します。

*現在価値:

 例えば金利が4%である場合、現在の1000円は、1年後の1040円と等価であるとした考え方で将来の費用を現在の価値に置き換えることです。


(環境水質課 山本 康次)


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