大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第59号− 2008年7月31日発行


水道水の「水質基準に関する省令」等の一部改正について

 水道水は51項目の水質基準(水道法第4条)に適合するものでなければならず、水道事業体等に水質検査の義務が課されています。また、水道水質に関しては、水質基準以外にも水質管理上留意すべき項目として水質管理目標設定項目(27項目:農薬類の102物質を含む)が定められている他、毒性評価が定まらない物質や、水道水中での検出実態が明らかでない項目を要検討項目(40項目)と位置づけ、必要な情報・知見の収集に努めることとされています。

 これらの水質基準等は「水質基準に関する省令」(平成15年厚生労働省令第101号)や同時期に出された厚生労働省健康局長通知等に基づき詳細が定められています。しかし、厚生科学審議会答申において「既定の水道基準等についても、常にそれらに関連する最新の科学的知見に照らし合わせ見直しを図るべき」との考えから、得られた情報を基に必要に応じ逐次改正を進めていくとしています。

 それにより、最近では平成20年4月に「塩素酸」が水質管理目標設定項目から水質基準(基準値0.6 mg/L以下)に変更となり(詳細はメルマガ第49号参照)、水質管理目標設定項目では「フィプロニル(農薬類*1 :殺虫剤)」(目標値0.0005 mg/L)、「従属栄養細菌」(目標値2,000 CFU*2 /mL以下)が新たに追加されました。

 さらに、今回、水質基準に関して

・検出状況や食品健康影響評価結果等を踏まえて、「1,1‐ジクロロエチレン」に係る水質基準を廃止し、水質管理目標設定項目(目標値0.1 mg/L以下)に追加する。

・食品健康影響評価結果等を踏まえ、「シス‐1,2‐ジクロロエチレン」を、現在、水質管理目標設定項目である「トランス‐1,2‐ジクロロエチレン」と合算することとし、「シス及びトランス‐1,2‐ジクロロエチレン」(基準値0.04 mg/L以下)として新たに設定する。

・過マンガン酸カリウム消費量との相関やトリハロメタン類の生成抑制の観点より、「有機物(全有機炭素(TOC*3)の量)」の基準値を5 mg/L以下から3 mg/L以下に改正する。

としています。

 また、水質管理目標設定項目については、前述した「1,1‐ジクロロエチレン」の追加、「トランス‐1,2‐ジクロロエチレン」の削除の他、「アルミニウム及びその化合物」を水質基準(基準値0.2 mg/L以下)とは別に、目標値0.1 mg/L以下として新たに設定する。さらに、「ジクロロアセトニトリル」(0.04 mg/L以下 → 0.01 mg/L以下)、「抱水クロラール」(0.03 mg/L以下 → 0.02 mg/L以下)、「EPN(農薬類:殺虫剤)」(0.006 mg/L → 0.004 mg/L)、「クロルピリホス(農薬類:殺虫剤)」(0.03 mg/L → 0.003 mg/L)について、現行の目標値を各々( )内のように改正するとしています。

 なお、厚生労働省では、これらの改正案を7月12日までに募集したパブリックコメント等を参考にしたうえで、平成21年4月1日より施行する予定にしています。

 このように、水道水の水質基準等については、今後とも新しい知見が得られるごとに、逐次改正方式に沿って検討・改正が実施されるものと予想されます。当研究所においては、水道水のさらなる安全性、快適性確保の観点より、各水道事業体、保健所等の検査機関と連携し、このような改正等にも迅速に対応できるよう検査体制の充実に努めています。

*1

 農薬類は対象102物質の検出値と目標値の比の和として1以下とする

*2

 CFU:colony forming unit(培地に形成される細菌の集落数)

*3

 TOC:total organic carbon

(企画調整課 足立伸一)


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