大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第62号− 2008年10月31日発行


個人ホルムアルデヒド濃度測定から分かったこと

 近年、住宅に使用される建材等から発散するホルムアルデヒド等の化学物質に室内空気が汚染され、多様な症状を生じる「シックハウス症候群」が大きな社会問題となっています。

 厚生労働省は1997年にホルムアルデヒドの室内濃度指針値を80ppbと定めました。2003年には、建築材料のホルムアルデヒド放散量基準と規制が改正、施行されるなどホルムアルデヒドに対する対応は進んできています。しかし、一般の住居では、居住後の経時的なホルムアルデヒドの濃度管理はされておらず、居住者のホルムアルデヒド曝露の実態はあまり調べられていません。

 私達は、一般住民がどの程度のホルムアルデヒド曝露を受けているのかを調べ、新築やリフォームではホルムアルデヒドの曝露濃度はどうなるかを検討しました。

 調査は大阪府内に住む方の協力を得て実施しました。ホルムアルデヒド捕集用サンプラーを24時間住民の胸元に付けていただくとともに、ベランダなどの屋外にもセットしていただきました。その結果、次のようなことがわかりました。

  1. ホルムアルデヒドの個人濃度は、169名の測定協力者全員が室内濃度指針値以下でした。したがって、この指針値を基準として考えれば、現時点では、ホルムアルデヒドに関して問題のある事例はそれほど多くはないと考えられます。

  2. 屋外濃度は個人濃度より低い傾向を示しました。また、仕事の有無や仕事の形態別(常勤・パート、内勤・外勤)に個人濃度を比較しましたが、差はありませんでした。自宅滞在率と個人濃度の関係を見ると、個人濃度が比較的高い人では自宅滞在率が高いことがわかりました。以上のことから考えますと、一般的な外出行動で、重大なホルムアルデヒド曝露を受けることは少ないと言えます。

  3. 「最近10年以内の新築やリフォーム」と個人濃度の関係では、新築やリフォームをした人の群で個人濃度が有意に低くなりました。また、最近10年以内に新築した場合、新しい住宅に住む人ほど個人濃度が低くなる傾向がありました。これらのことは、住宅の設計、施工、リフォームに化学物質の発生が少ない建材や合板、壁紙などが使われるようになったため、以前問題が指摘されていた新築住宅におけるホルムアルデヒド曝露は、最近の新築では改善されていることを示しています。

 本調査には、岸和田市立保健センター、並びに岸和田保健所の関係各位に多大なご協力をいただきました。ここに記して感謝の意を表します。

(生活衛生課 東 恵美子)


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