大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第63号− 2008年11月28日発行


大阪府内におけるHIV・B型肝炎・梅毒の罹患状況

 わが国においてHIV感染者・AIDS患者数はここ数年で急増しています。大阪府でも、1997年に報告されたHIV感染者・AIDS患者数の合計は38件でしたが、2002年は95件、2007年は188件と増加の一途を辿っており、今年はすでに11月の時点で200件を超えました。

 一方、B型肝炎ウイルス(HBV)は、1986年より全国規模での出生時のHBV母子感染予防対策が進み、それ以降に出生した世代ではHBVの感染はほとんど見られなくなりました。また、日本赤十字社による輸血用血液製剤の安全対策事業や、医療者へのHBVワクチン接種や院内感染予防対策により、輸血や針刺し等医療事故に伴う感染は、ほとんど見られなくなりました。しかし、性行為に伴って伝播するHBV感染には対策が取られず、若い年齢層を中心に感染が拡大する傾向にあります。また、梅毒の全国年間報告数は2003年までは年々減少していましたが、その後増え始め、2007年には急増しています。

 私たちは公的検査所、医療機関および検査会社から依頼を受けて、HIV感染の確認検査を行っています。今回、2006年に行った検査でHIV陽性が確認された97検体を用いて、B型肝炎、梅毒の罹患状況を調査した結果、HIV陽性者の9.3%(9例)がB型肝炎ウイルスのHBs抗原陽性、26.8%(26例)がHBs抗体陽性、43.3%(42例)が梅毒抗体陽性でした。2006年の献血における陽性率が、HBs抗原0.05%、梅毒抗体0.12%であるのと比べると非常に高い値となっており、HIV陽性者において高い性感染症の罹患状況が認められました。また、HBs抗原陽性例についてHBVの遺伝子解析を行ったところ、9例すべてが、今までわが国で主流だった遺伝子型ではなく、性行為に伴って感染が拡大する傾向にあるとされる遺伝子型の感染でした。今までB型肝炎に大人が感染しても慢性化することはほとんどないと言われていましたが、この型に感染した人では、その10%前後が慢性化して、肝硬変や肝臓ガンを発症する危険性も高くなると言われています。

 性感染症に罹患していると、HIVへの感染リスクも高まります、また逆にHIV感染があると性感染症によっては、その進行が早く、重症化する傾向を示すものもあります。性感染症の中には症状が出にくいものも多く、感染になかなか気づかない場合があります。HIVを含む性感染症は、性行為を行う人なら誰もが感染する可能性があり、決して特別な病気ではありません。検査をして早期に発見する事により、治療をすることも可能ですし、パートナーへの感染を防ぐこともできます。

 大阪府内では保健所・保健福祉センターやchot CAST なんば(大阪検査相談・啓発・支援センター)等で、無料・匿名のHIV検査が行われており、場所・曜日によって受検可能な検査項目は異なりますが、HIV検査と同時に他の性感染症の検査も受ける事ができます。(→大阪府内の無料匿名HIV検査機関一覧

 検査を受けたことがない方は、一度検査を受けてみてはいかがでしょうか?

(ウイルス課 小島 洋子)


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