大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第64号− 2008年12月26日発行


メラミン問題のその後

 みなさん、まだメラミンという言葉を覚えておられますか。

 今年9月に中国で粉ミルクを飲んだ乳幼児に腎臓結石などの健康被害が数万人規模で起こったことが大きく報道されました。その後の調査で健康被害を受けた人数は約30万人近くに増えました。その原因物質がメラミンで、牛乳のタンパク質量をごまかすために加えられていました。中国製の食品は多くの国に輸出されており、メラミンに汚染された乳製品を原材料にしたお菓子などについて、多くの国でメラミンの検査が行われました。また大規模な健康被害事例が発生したために、メラミンの毒性について再検討されました。

 最近WHO(世界保健機関)が開催した国際的な専門家会議で、メラミンのTDI(耐容1日摂取量:ある汚染物質等を、人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日あたりの量)を体重1kg当たり0.2mgに設定しました。この値は、これまでのアメリカFDAが決めた0.63mg/kgやヨーロッパが決めた0.5mg/kgよりも低い値です。今回設定されたTDI(0.2 mg/kg)では、体重50kgの人の場合、1日当たりのメラミンの耐容量が10 mgとなります。

 厚生労働省の発表では約5,000検体の食品についてメラミンが検査され、41検体からメラミンが検出されました(20年12月21日現在)。その中で最も高濃度のチョコレート菓子から54mg/kgのメラミンが検出されました。このお菓子を毎日100g食べても体に入るメラミンは5.4mgですから、厳しくなった限度量よりも少なく、メラミンによる中毒は起こらないと考えられます。

 実際にメラミンによる健康被害は、メラミンを含む牛乳や粉ミルクを飲んだ中国と香港だけで発生しています(食品安全委員会資料)。お菓子類のメラミンが原因となった中毒は発生していません。牛乳や粉ミルクは乳幼児には大切な主食・副食で毎日飲まなければなりません。安全性が保証されたはずのこのような食品で健康被害が起こることが問題であり、食の安全という言葉の重要性を再認識させられる事例です。

(食品化学課 尾花 裕孝)


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