大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第66号− 2009年2月27日発行


ふぐ中毒とふぐの取り扱いについて

 1月26日に山形県の飲食店でふぐ中毒が発生したと、マスコミで報道されたのを覚えていますか?その報道の中で、フグの取扱いは全国一律でなく、フグをさばくのに免許がいるところやそうでないところ、また、フグの取扱いを条例で規制しているところなど、さまざまであることが報道されました。そこで、今回はフグの取扱いはどの様になっているか?を説明しようと思います。

 ふぐ中毒はフグの有毒な部分に含まれているテトロドトキシンという毒物によって引き起こされます。この毒物は神経を麻痺させる作用があり、その毒力が非常に強いため、死にいたることも珍しくありません。ふぐ中毒が全国でどの位起こっているかと言えば、平成19年では、食中毒にかかった人は約33,500人、その内ふぐ中毒は44人発生しています。いっぽう死者については食中毒全体で7人発生していますが、その内ふぐ中毒では3人でした。この様に、ふぐ中毒は発生の割合は少ないのですが、死者の発生する割合が非常に高いことが言えるのです。

 フグの有毒な部分を提供することは、もちろん食品衛生法で厳しく禁止されています。提供すれば、食品衛生法第6条違反ということになり、法に基づいて処分されます。フグはさまざまな種類があって、種類によって有毒な部分が違います。そこで、厚生労働省は、昭和58年に、国内で食用にしても良いフグ21種類と、それらのフグの筋肉(肉)・皮・精巣(しらこ)について、食用にしても良い部位を定めています。ですから、定められた種類以外のフグや定められた部位以外は食用にしてはいけません。肝臓(きも)や卵巣(まこ)は、どのような種類のフグであっても、食用にしても良い部位の中には入っていませんので、決して食べてはいけません。山形県の場合は、ヒガンフグの肝臓(きも)や、皮、白子を提供したとの事で、ヒガンフグは食用にしても良いフグに入っていますが、肝臓(きも)や精巣(しらこ)、皮等は食用にしても良い部位ではありませんので、食品衛生法で処分されました。ちなみに、皆さんおなじみのトラフグは、肝臓(きも)はもちろんだめですが、皮や精巣(しらこ)は食用に出来ますので、安心して食べてください。

 フグに関しては、国は上記の様な規制をしていますが、実際フグの取り扱い方となると、都道府県によってさまざまです。条例を設けているところ、要綱や要領で規制しているところ、フグを取り扱う人を免許制にしているところ、講習会受講制度にしているところなどまちまちです。

 大阪府では、フグの取扱いに関しては、「大阪府ふぐ販売営業等の規制に関する条例」で規制しています。この条例は昭和23年に制定されました。大阪府は、全国でも最も早く条例を定めた都道府県の1つです。
 フグを提供する場合、条例による「ふぐ販売営業」の許可を得なければなりません。許可を得るためには、資格のある人を必ず施設に置かなくてはなりません。「ふぐ取扱い登録者」と呼んでいますが、この登録者になるためには、フグの取扱いに関する他府県の免許証を持っている、大阪府が行う講習会を受講し終了している等の条件が必要です。大阪府の講習会では、学科の聴講や、フグの処理の実技などがあって、講習会といえども、最後には筆記試験や実技試験を課しています。特に成績が悪ければ講習会終了証を発行しません。つまり試験をパスしないと言う仕組みを作っています。このようにフグを提供している施設には必ず資格者がいるので安心してください。
 また、フグをさばく場合、専用の調理場が必要となっています。その調理場内には、フグの有毒な部位を保管しておく鍵付の容器を置くこととなっています。また、有毒の部位を処理業者に引き渡すことを確認する書面も必要です。
 大阪府は、フグの消費量日本一といわれています。フグは食い倒れ大阪のシンボルとなっています。フグによる中毒を出さないよう、条例で厳しく規制しています。皆さんもフグ料理店に行かれたら、ふぐ営業許可証や、ふぐ取扱い登録者証を確認してください。必ず店内に掲示するよう、条例で定められています。

 大阪府では、飲食店などによるフグ中毒はほとんど起こらなくなりました。ところが最近は、釣ってきたフグを家で調理し、それによる中毒が見られます。フグによる中毒は、時には死に至る様な重大な事故となりますので、安易な知識でフグを調理するのは非常に危険です。釣ってきたフグは食べないようにしましょう。

(企画調整課 吉村 明)


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