大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第68号− 2009年4月30日発行


化粧品に配合されるホルムアルデヒドドナー型防腐剤(ver.2)

 第60号(平成20年8月29日発行)のメルマガで、「化粧品に配合されるホルムアルデヒドドナー型防腐剤」についてご紹介しましたが、その続報です。前回は、保存条件と遊離するホルムアルデヒド量についてのお話でしたが、今回は少し「分析法の開発」について触れたいと思います。

 化粧品には微生物による汚染を防ぐため、防腐剤と呼ばれる物質が配合されています。化粧品を裏返すとよく記載がみられる、パラベン、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン、といった化合物が防腐剤の代表例に挙げられます。その他に、ホルムアルデヒドドナー型防腐剤(ドナー型防腐剤)といわれる防腐剤が存在します。イミダゾリジニル尿素、1,3−ジメチロール−5,5−ジメチルヒダントイン(DMDMヒダントイン)、ブロノポール、ジアゾリジニル尿素、クオタニウム-15などの物質がこのタイプの防腐剤に分類されます。

 日本ではイミダゾリジニル尿素およびDMDMヒダントイン(粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもののみ、最大配合量0.30g/100g)を除き、ドナー型防腐剤の化粧品への配合は薬事法で禁止されています。しかし、欧米ではパラベンに次いで多く使用されており、化粧品に配合される防腐剤全体の中での占める割合もかなり高くなっています。また、ドナー型防腐剤の多くについては、接触性皮膚炎の原因となるという報告があるため使用に際し注意が必要です。

 近年、インターネット等の普及により外国製品を容易に個人輸入できるようになりました。先に触れましたように、ドナー型防腐剤は欧米では比較的使用頻度が高い化合物ですから、個人輸入を介して入手できる化粧品中にも配合されたものが多数含まれています。つまり、近頃の情報化社会の発達によって、「国内では使用できない防腐剤」を配合した化粧品が日本に持ち込まれて、健康被害が発生する新たなリスクを生みだしているといえます。

 我々はドナー型防腐剤のうち、「ジアゾリジニル尿素」の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた分析法を開発しました。この化合物は、日本では使用が認められていませんが、アメリカやEU、ASEAN諸国では配合が認められており、まさに "国内では使用できないが、持ち込まれる可能性の高い防腐剤" の一つに挙げられます。ジアゾリジニル尿素は@水溶液中で非常に分解しやすく、またA親水性が非常に高いことから、HPLCで汎用される「逆相クロマトグラフィー」では分析ができませんでした。@については、分解しにくい条件を詳細に検討し、Aについては「親水性相互作用クロマトグラフィー」という比較的歴史の浅い分離法を導入することで分析が可能になりました。

 ドナー型防腐剤については、欧米で広く使用される防腐剤であり、接触性皮膚炎の発生頻度が比較的高いにもかかわらず、いまだ判っていないことが多くあります。我々の研究グループでは、こういった解明されていないことを1つ1つ明らかにしていくことで必要な情報を蓄積し、健康被害発生を防ぐ方法を開発する準備を進めています。

(薬事指導課 土井 崇広)


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