大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第72号− 2009年8月31日発行


新型インフルエンザ対策運用指針と感染症法の改正について

 これまでの新型インフルエンザ対策は、H5N1のような高病原性トリインフルエンザがヒト社会に侵入してきたときを考えて練られてきましたが、本年は病原性が季節性インフルエンザと大きく異ならないと思われるブタインフルエンザが、新型インフルエンザとしてヒト社会に現れました。そこで今まで考えられてきた封じ込め対策を中心とした新型インフルエンザ対策では、社会的影響が大きすぎるということで、厚生労働省は、平成21年6月19日に「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定を行い、さらに7月22日および8月25日に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」施行規則の一部を改正し、新型インフルエンザの取り扱いが大きく変わりました。

改正された指針の基本的な考え方は、

  1. 重症患者への対応
  2. 院内感染の防止
  3. 感染拡大及びウイルスの性状変化の早急な探知
  4. 急速な感染拡大と一斉流行を抑制・緩和する施策

です。これらを踏まえて、患者の自宅療養、予防投薬の原則廃止、重症化するおそれのある患者には必要に応じて入院治療などが提示されました。

 さらに新型インフルエンザは、全数把握疾患から、集団への把握と変わり、現時点では医師の届出は不要となりました。

 具体的な新型インフルエンザのサーベイランスは以下のように変更されています。

(1) 集団発生

 概ね10人以上の集団において、医師が問診等により集団発生を疑った場合、または、学校や社会福祉施設等の施設設置者が臨時休業や7日以内の2名以上の患者発生を把握した時は、保健所に届ける。保健所は、集団的に発生していると判断した場合は、都道府県等に届けるとともに、施設を通じて感染拡大防止に努める。新型インフルエンザを確認するためのPCR検査は原則行わない。(ただし、基礎疾患を有するなど重症化するおそれが高いものが生活する施設等では医師の判断でPCR検査を実施し、予防投薬を検討することもある。)

(2) 入院(重症)サーベイランス

 医療機関からインフルエンザ様症状を呈する入院患者が発生したときは、迅速診断検査でB型となった場合を除き、PCR検査を実施して、新型インフルエンザによる入院患者として把握する。

(3) インフルエンザ発生状況

 インフルエンザの流行は、通常の定点医療機関(インフルエンザ定点、全国で約5000カ所)における患者発生報告をもってインフルエンザ全体の発生動向として把握する。

(4) 病原体サーベイランス

 主としてウイルスの性状を調べることを目的として、病原体定点医療機関において月に数検体採取し、PCR検査とウイルス分離を行う。


(ウイルス課 加瀬 哲男)


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