大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第76号− 2009年12月28日発行


新型インフルエンザの集団発生がみられた私立高校での血清疫学調査について

 公衆衛生研究所では、今年の5月に集団発生した私立高校の協力を得て、新型インフルエンザウイルスに対する血清疫学調査を実施しました。その結果を関係者各位にお知らせしましたが、その概要は以下の通りです。

 この研究の目的は、我が国における新型インフルエンザが早期に流行した集団において、感染状況を血清学的に把握することです。研究規模は、協力を申し出ていただいた教職員等95名、生徒550名、生徒家族2名の合計647名でした。採血は8月下旬に行い、アンケート調査は国立感染症研究所が5月と8月に実施しました。血清抗体価は中和試験法で測定しました。

 主な研究結果は次の通りです。


  1. 対象者647名の抗体価分布は、160倍以上 102名(15.8%)、10〜160倍未満 211名(32.6%)、10倍未満 334名(51.6%)でした。
     
  2. RT-PCR法で新型インフルエンザが確定診断された21名の抗体価分布は、160倍以上 18名(85.7%)、112倍 1名(4.8%)、56倍 2名(9.5%)でした。
     
  3. 中和抗体価160倍以上でアンケート調査が確実になされた98名の採血前の症状は、インフルエンザ様症状44名(44.9%)、インフルエンザの定義を満たさない軽度の症状36名(36.7%)、症状を自覚しなかったもの18名(18.4%)でした。
     
  4. 採血日以降に臨床的にインフルエンザと診断された108名の抗体価分布は、160倍以上 3名(2.8%)、10〜160倍未満 28名(25.9%)、10倍未満 77名(71.3%)でした。
     

 上記の結果、160倍以上の高い中和抗体価を有する対象者は、新型インフルエンザウイルスの感染を受けた可能性が非常に高いこと、中和抗体価160倍以上で採血時まで無症状であった約2割に相当する18名は不顕性感染の可能性が高いこと、高い中和抗体価を保有していても新型インフルエンザを発症する可能性があることが示されました。

 最後に、本調査研究に全面的な協力していただいた高校およびその関係の方々に深謝いたします。ご協力どうもありがとうございました。

中和抗体:

 ウイルス感染によって起こる抗原抗体反応の結果できる抗体で、ウイルスを不活性化する能力がある抗体。通常、抗体価は希釈倍率で表され、抗体価160倍は、元の血清を160倍希釈しても抗体が存在するという意味。

(ウイルス課 加瀬 哲男)


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