大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第76号− 2009年12月28日発行


ヒスタミン食中毒とその検査法について

 ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンを大量に含む食品を食べることで起こります。症状が食物アレルギーの症状に似ていることから、アレルギー様食中毒とも呼ばれています。この食中毒は1950年代に全国的に発生しましたが、厚生労働省の食中毒統計によると、近年の発生件数は年間10件程度、患者数は100名程度に減少しています。しかし、学校や社員食堂などの給食施設、飲食店で発生することが多く、2009年1月には札幌市の小学校で患者数279名の大規模な食中毒が発生しています。

 原因となる食品は、マグロ、イワシ、サンマなどの赤身魚(青魚)とその加工品です。これらの魚は、魚肉中にアミノ酸の一種であるヒスチジンを大量に含みます。このヒスチジンが、特定の細菌(ヒスタミン生成菌)の作用で分解されて、ヒスタミンが生じます。ヒスタミン生成菌は、室温で増殖するものと、冷蔵庫などの低温で増殖するものがあります。ヒスタミン生成菌の付着した赤身魚の室温保存及び長期間の冷蔵保存、製造工程の不適切な温度管理によってヒスタミン生成菌が増殖します。その結果、ヒスタミンが産生され魚肉中に蓄積します。一般的に、100g中に50mg以上のヒスタミンを含む食品を食べた時に、食中毒が起こるとされています。食後30分から1時間後に顔面紅潮、発疹、頭痛などを発症しますが、症状は軽く6時間から10時間で回復するとされています。しかし、乳幼児や高齢者、心臓や呼吸器に基礎疾患のある人が発症した場合には、症状が重くなる可能性があるので注意が必要です。

 食品中のヒスタミン検査法には、ヒスタミンを蛍光試薬で標識し高速液体クロマトグラフィーによる分離分析を行う方法(蛍光誘導体化HPLC法)、ヒスタミンを酵素で分解し比色分析を行う方法(比色法)、ヒスタミンと結合する抗体を用いた方法(ELISA法)などがあります。一般的な検査法は、蛍光誘導体化HPLC法です。この方法は、食品中の測定妨害成分の影響を受けにくいのですが、検査に時間がかかり、食中毒発生時の迅速検査には適しません。比色法は、操作が簡便で、短時間の検査が可能な検査キットが市販されています。このキットは、鮮魚や冷凍魚のヒスタミン検査に用いるものであり、食中毒の検体のような魚介類加工品や調理済み食品の検査は難しいという問題点がありました。そこで、当所では、食品中の測定妨害成分の除去方法を検討し、この市販キットを利用した迅速なヒスタミン検査を実施しています。

 ヒスタミン食中毒を予防するため、魚介類を取り扱うときに次のことに注意しましょう。


  1. 新鮮な魚を購入し、古くなったら食べないこと(加熱調理してもヒスタミンは分解されません)。
  2. 購入後すぐに冷蔵、冷凍で保存すること。ただし、冷蔵庫での長期保存は避けること。
  3. 調理するときに、長時間室温に放置しないこと。
  4. 冷凍、解凍を繰り返さないこと。
  5. 食べたときに、口がピリピリするなどの異常を感じたときは食べないこと。
(食品化学課 粟津 薫)


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