2004年4月30日 第8号     
 
   
   
目次
・ 巻頭言
・ 今月の話題
  風しん -大阪府では-
・ 研究の窓から
  介護保険法施行後の老人介護従事者の健康に関する実態調査と健康障害予防方法の検討
・ ここが知りたい一問一答
  新しいカーペットの不快臭(4-フェニルシクロヘキセンの毒性)
・ 質問・問合せはこちらまで。
・ 講読の新規登録/停止はこちら
・ 8号に対するご意見はこちら
 
 鳥インフルエンザが一段落したとたん、今度はBSE問題が一挙に再噴火してきました。偽装問題、全頭検査の見直し
などです。前者はもういいかげんにして欲しいという感じですが、後者に関しては米国との確執が基盤にあり、慎重な
対応が求められるところです。国際的な調和は国際社会に生きるためには必要ですが、科学的な基礎と、国民の合意が
必要不可欠です。国の食品安全委員会の実力が試されるときであり、またよく言われるリスク・コミュニケーションの
あり方が問われるときでもあります。
*今月の話題
「風しん -大阪府では-」
 風しんが一部地域(群馬県、大分県、鹿児島県など)で流行の兆しを見せており、厚生労働省は4月9日、各都道府
県にワクチン接種などの対策を進めるよう通知しました。風しんは三日ばしかとも呼ばれており発疹、発熱、リンパ節
腫脹を症状とする病気です。まれに血小板減少性紫斑病などの重篤な合併症を併発することもありますが、通常は予後
良好な疾患です。しかし妊娠初期の女性が風しんにかかるとウイルスが胎盤を通じて胎児に感染し、白内障や先天性心
疾患、難聴などがみられる先天性風しん症候群を起こすことがあります。先天性風しん症候群を予防するには風しんワ
クチンが有効で、女性が妊娠する前に免疫をつけておくことと同時に、社会全体としてワクチンの接種率を高め、風し
んの流行を抑制し妊婦が風しんウイルスにさらされないようにすることが大切です。日本では風しんワクチンは生後
12-90ヶ月の小児を対象に定期接種として実施されています。
 
 小児科定点医療機関から報告される全国の風しん患者数は、ここ数年かなり少なく推移しており、先天性風しん症候群
も平成11年の報告患者数は0名、平成12年から15年までは毎年1名でしたが、今年に入ってからはすでに2例の
報告がありました。
 
 大阪府内の第16週(4/12-4/18)風しん患者数は定点あたり0.04で、堺市の患者報告数が4例(定点あたり0.2)と目立つ
ものの、地域的な流行は今のところありません。しかしながら風しんワクチンの接種率は高いとはいえず、流行が一旦
始まると拡大する恐れもあります。ワクチン未接種の方は医療機関とご相談の上、積極的に接種されることをお勧めし
ます。  (ウイルス課 宮川)
 
*研究の窓から
「介護保険法施行後の老人介護従事者の健康に関する実態調査と健康障害予防方法の検討」
 
 高齢化社会が進行していく中で、介護サービス従事者の役割はますます重要になっていくと考えられます。高齢者が
安心して生活できる社会の実現のためには、介護サービス従事者が健康に働きつづけることができる職場を作ることが
必要です。
 
 労働衛生部(現 生活衛生課)では、高齢者介護サービス従事者における腰痛および頸肩腕障害に関する実態を把握
するため、大阪府内の特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設のご協力を得て質問紙調査(回答者779名内女性77.5%)を実施しました。その結果、常勤入所部門介護職の訴え「腰が痛い」は、「毎日のように」35.3%、「週1-2回」42.9%と併せて78.2%にもなりました。また、訪問介護従事者(回答者486名内女性97%)では、「腰が痛い」の訴え率は、正規職員で「毎日のように」33.8%と「週1-2回」36.5%を併せて70.3%、常勤的非常勤では58.6%、パートタイマーでは58.4%でした。常勤者では腰痛の訴えが非常に多いことがわかりました。
 
 そこで、介護職の方を現場で観察調査し、腰部への負担要因を調査しました。勤務中の「前屈み」「しゃがみ」「ひざつき」など、腰に負担がかかる姿勢をとる作業時間は勤務時間の40%で、20度以上背中が傾いている時間は46%におよぶことがわかりました。
 
 今回の調査結果をもとにして、腰痛の起こらない介護現場の実現のために(1)施設の改善、(2)作業の改善、(3)職員の教育、(4)腰痛健診、(5)腰痛体操の実施などを提言しました。 (生活衛生課 熊谷)
詳しくは
http://www.iph.pref.osaka.jp/report/tokuyou/tokuyou.pdf
 
*ここが知りたい一問一答
Q、「新しく買ったカーペットに不快な臭いがする。カーペットに含まれているラテックス製造工程で、スチレンとブ
タジエンの重合の際に生じる副産物(4-フェニルシクロヘキセン、ラテックス中に100ppm程度含まれている)が原因だ
とメーカーから情報があった。この化学物質についての毒性情報を教えてほしい。」
 
A、 4-フェニルシクロヘキセンは日本の化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法)や、労働安全衛生
法特定化学物質等障害予防規則などで規制されていません。室内環境のTVOC(総揮発性有機化合物)測定項目の中に含まれています。暫定基準値は400マイクログラム/立方メートル(TVOCとして)です。
 
 ドイツの成人に対する調査では、家庭や職場のカーペットによると考えられる曝露濃度は4.4-4.9 マイクログラム/
立方メートル(0.68-0.75ppb)という報告があります。
 ラットに対する急性・亜急性毒性データは、50ppm(400ミリグラム/立方メートル)10日間曝露で死亡せず、病理組
織の変化、着床数(生殖毒性の指標)の変化がなかったと報告されています。また、皮膚刺激性、皮膚感作性(アレル
ギー原性)、神経系への影響も認められていません。ただし、慢性毒性や遺伝毒性に関する報告は見つかりませんでし
た。
 人間では臭いを感じる閾値が2 マイクログラム/立方メートル(0.3ppb)であり、臭気によって頭痛・目や鼻の刺激の原因になる場合があります。(企画調整課 赤阪)
http://ntp-server.niehs.nih.gov/htdocs/Chem_Background/ExSumPdf/Phenylcyclohexene.pdf
4-Phenylcyclohexene [CASRN 4994-16-5] Review of Toxicological Literatureより
 
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