大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第81号− 2010年5月31日発行


加工食品を対象とした残留農薬一斉分析法の開発

 平成20年初頭に発覚した冷凍餃子への有機リン系農薬混入事件を契機に、消費者の加工食品に対する不安が高まり、加工食品中の残留農薬分析が重要視されるようになりました。加工食品は数多くの種類が存在し、生鮮食品以外の全ての食品が該当します。このような多種多様な食品を対象に農薬分析を行う場合、従来の農産物を対象とした分析方法では対応できない事例が多くなると予想されます。また、国から通知された分析方法は、高濃度の有機リン系農薬を迅速に検出することを目的にしているため、低濃度の分析は行えず、その他の多くの農薬には適用できないのが現状です。

 このような背景から、当所では、加工食品を対象とした残留農薬の一斉分析法の開発に取り組んでいます。より多くの食品について、より多くの農薬に適用可能な分析法を確立するため、図1のように加工食品を系統的に分類し、その系統に基づいた一斉分析法の検討を行っています。
 

 
図1 加工食品の系統的分類

 これまでに、高脂質食品を対象とした一斉分析法の開発を行いました。高脂質食品は、食品中の脂質画分に農薬がとりこまれやすい一方、測定時には脂質が妨害成分となるため、抽出や精製操作に工夫が必要です。そこで脂質の除去に重点を置いた分析法を構築し、餃子、ポテトフライ、白身魚フライ、鶏唐揚げ、レトルトカレーを対象食品として約260種類の農薬について検討を行いました。その結果、検討した農薬の約7割の農薬が高精度に分析可能でした。さらに、市販の加工食品75検体(餃子、レトルトカレー、ポテトフライ等)について実態調査を行った結果、全ての食品が食品衛生法に適合していました。
 現在は、低脂質食品(ドライフルーツ、漬け物、ジャム等)を対象に、水分が少ない、糖分・塩分が多い等の特性に対応した一斉分析法の検討と実態調査を行っています。その結果、市販の漬け物1検体から食品衛生法の基準を超過する農薬を検出しましたが、検査結果をうけて、当該商品は自主回収されています。今後は、飲料を中心に同様の検討を行う予定です。

 このように加工食品を系統的に分類し、その系統に基づいた一斉分析法を確立することは、健康危機事例や苦情食品の原因物質の迅速な究明に有効であり、府民の食の安全安心の確保に貢献できると考えられます。

(食品化学課 北川 陽子)


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