大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第84号− 2010年8月31日発行


水道水質検査における検査精度の向上について(2)

 大阪府では府内の水道事業体、保健所等の水道水質検査機関の検査精度の向上を図ることを目的として、平成5年度より「大阪府水道水質検査外部精度管理」を実施しています。この外部精度管理では、当所で作成した試料を水道水質検査機関が測定し、その結果について統計・解析を行い、分析精度が保たれているかどうかを確認することとしています。平成20年度は対象項目を、無機物質は「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」と「フッ素及びその化合物」、有機物質は「ホルムアルデヒド」とし、無機項目で42機関、有機項目で22機関の参加を得て実施しました。

 また、建築物飲料水水質検査業の知事登録を受けている事業所に対しても、より一層の信頼性を確保するために上記と同様の目的で、平成19年度より「大阪府建築物飲料水水質検査業外部精度管理」を実施しています。平成20年度は、無機項目は「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」、有機物質は「ホルムアルデヒド」とし、無機項目で38事業所、有機項目で30事業所の参加を得て実施しました。

 本メールマガジン第66号では、平成19年度の結果を紹介しましたが、今回は平成20年度の結果のうち「ホルムアルデヒド」について紹介します。


 (1) 大阪府水道水質検査外部精度管理結果

 検査は「水道基準に関する省令の規定に基づく厚生労働大臣が定める方法」に従い行うこととしました。22機関の測定値を統計処理し検査結果の精度を確認したところ、検査値の「変動係数」(*1)が20%を超えた機関はありませんでした。また「Z スコア」(*2)の絶対値が3 を超えた機関もありませんでした。「真値」(*3)に対する「誤差率」(*4)が±20%を超えたのは1機関でした。しかし、Zスコアと誤差率がともに許容範囲を超えて「外れ値」に該当した機関はなく、概ね良好な外部精度管理結果が得られました。


 (2) 大阪府建築物飲料水水質検査業外部精度管理結果

 試料は大阪府水道水質検査外部精度管理と同じものを用い、検査方法も同様としました。参加した30の事業所のうち、検査値の「変動係数」(*1)が20%を超えた事業所、また「Z スコア」(*2)の絶対値が3 を超えた事業所はありませんでした。したがって、これら両方の許容範囲をこえた「外れ値」に該当した事業所はなく、良好な外部精度管理結果が得られました。


 (3) 検査精度の向上に向けて

 上記の2つの外部精度管理で「外れ値」になった機関・事業所はなく、いずれも良好な外部精度管理結果が得られ、府内における水道水質検査が精度よく実施されていることが確認できました。しかしながら、各機関の分析条件を精査すると、検査精度をより一層向上するために留意すべき事項が明らかになりました。そのため、これらの留意事項については、今後の検査精度の向上に役立てるため、参加機関・事業所を対象にした結果報告会において周知を図っています。

 以上のように、当研究所においては、水道水質検査における外部精度管理を実施し、府内の水道水質検査機関・事業所の検査精度の向上を図ることにより、水道水のさらなる安全性、快適性の確保に努めています。

*1 変動係数

 機関内の報告値のばらつきを表します。各機関の報告値の標準偏差を平均値で除したもので、有機物の分析では±20%以内であれば、機関内の検査精度が保たれていることなります。

*2 Zスコア

 ある機関の報告値が、全体のどこに位置するかを表します。正規分布を用いる統計学的検定法で算出される数値で、絶対値が3未満であれば信頼性が保たれていることなります。

*3 真値

 対象物質の真の濃度。ここでは全機関の報告値から、異常な値を除いた後の平均値を真値としました。

*4 誤差率

 報告値が真値から、どれだけ離れているかを100分率で表したもの。有機物の分析の場合、±20%以内であることが必要になります。


(環境水質課 小泉 義彦)


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