大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第87号− 2010年11月30日発行


〜〜畜水産食品中の抗菌剤の検査について〜〜

 抗菌剤はヒトに対して用いられるほか、家畜や養殖魚に対して感染症の治療や予防に用いられています。適切に使用すれば、抗菌剤が食品に残留することはありませんが、過度に使用した場合や、休薬期間 1) を守らずに使用した場合に、食品に残留する恐れがあります。こういった事態を防ぐため、食品衛生法で食品中の残留基準値が設定されており、基準値を超えて検出された場合に食品衛生法違反となります。また、抗菌剤を必要以上に使用すると、その抗菌剤の存在下でも増殖できる耐性菌 2) が出現することが考えられます。さらに、環境中に放出された抗菌剤が原因で耐性菌が出現することも考えられます。

 そこで、検疫所や全国の地方衛生研究所では、抗菌剤の適正使用を促し、食品の安全性を確保する目的で、規格検査 3) を実施しています。輸入食品の検査では、テトラサイクリン系抗菌剤の一種であるオキシテトラサイクリン、キノロン系抗菌剤の一種であるエンロフロキサシンの他、クロラムフェニコール、ニトロフラン類、マラカイトグリーンの違反件数が比較的多いようです。当所でも年間延べ約1,500件の動物用医薬品の規格検査を行っており、抗菌剤ではサルファ剤、テトラサイクリン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤の検査を行っています。今年度の検査では、鶏肉ささみからサルファ剤の一種であるスルファメトキサゾールが残留基準値を超えて検出され違反となりました。

 当所では、規格検査等の日常業務に加えて、業務管理基準 4) に基づいて、分析法の開発や再検討に取りも組んでいます。今年度は、キノロン系抗菌剤の分析法を改良し、これまでオキソリニック酸1項目だけであったものを、エンロフロキサシンを含む12項目を分析できるように改良しました。分析技術は日々進化しており、これからもさらに充実した効率的な分析法を検討し規格検査に生かし、食の安全・安心に貢献していきたいと考えています。


1)休薬期間:
 動物用医薬品等が食品に残留しないようにするために定められた、と殺(水あげ)前の投薬禁止期間。

2)耐性菌:
 特定の薬剤に対して抵抗力を持ち、これらの薬剤が効かない、あるいは効きにくくなった細菌。

3)規格検査:
 食品衛生法に基づき定められた食品や成分についての規格に適合しているか確認するための検査。

4)業務管理基準(GLP):
 検査の精度や信頼性を確保するための作業手順を定めたもの。食品衛生法において、規格検査はGLPに基づいて行うことになっている。

(食品化学課 内田 耕太郎)


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