大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第88号− 2010年12月28日発行


ノロウイルスが流行しています

 感染性胃腸炎の病原体はさまざまな細菌、ウイルス、寄生虫を含んでいて多種多様ですが、この時期においては主な原因となるのがノロウイルスです。

 ノロウイルスは、1968年にアメリカのオハイオ州ノーウオークの小学校で起こった集団胃腸炎から検出され、その4年後に免疫電子顕微鏡下で初めて観察されました。電子顕微鏡での形態学的分類で発見されたため、2002年の国際ウイルス命名委員会でノロウイルス (Norovirus)と名称が決定されるまでは、小型球形ウイルス (Small Round Structural Virus, SRSV)あるいは ノーウォーク様ウイルス(Norwalk-like virus)という名称で呼ばれていました。ヒトに感染するノロウイルスは大きくわけるとgenogroup I(GI)とgenogroup II (GII)に分けられ、更にGIは15、GIIには19以上の遺伝子型が存在するといわれています。ヒトから検出されるgenogroupの大部分がGIIです。

 

 ノロウイルスの環境中における循環

 ノロウイルスはヒト以外では増殖せず、ヒトの体内で増えたウイルスは糞便中に排出されます。汚水処理をかいくぐったウイルスは河川から海へ至り、植物プランクトンを摂取するため大量の海水を濾過する二枚貝によって、その消化器官に濃縮されてとどまります。この二枚貝を生のままあるいは加熱不十分なまま食べるとノロウイルスがヒトに感染し、増殖します。ノロウイルスのGIの方が環境中や二枚貝からの検出率が高いため、環境中でGIIより安定なのではないかと言われていました。最近、カキの消化器官への定着の仕方がGIとGIIではかなり違い、明らかにGIの方が定着しやすいということも明らかになりました。一方、GIIの方はヒトからヒトへ感染(不顕性感染も含めて)を続けているのかもしれません。

 

 ノロウイルスの感染

 その特徴は、乳幼児からお年寄りまで幅広い年齢層のヒトに感染を起こす事と、繰り返し感染発症することです。ヒトへの感染経路は主に経口感染ですが、10-100個の少量で感染するため、食品を介した食中毒だけではなく、ヒトからヒトへの感染や、屋内が嘔吐物などにより汚染され、塵埃とともに空気中に舞ったウイルスによる感染もおこります。また長期にわたる免疫が成立しにくいと言われていますが、遺伝子型が多いこともあり、同じヒトが何回も感染し発症するようです。感染の形態として食品を介したものとヒトからヒトへの感染があることから、ノロウイルスについての疫学の統計には次の3種類があります。1)食中毒統計、2)感染症発生動向調査、3)病原微生物検出情報。このうち2)はノロウイルスだけではなく5類感染症定点把握疾患として、大阪府では約200カ所の小児科定点医療機関から報告されている統計で、この全国版では約3,000カ所から報告されています。

 詳細については次のURLの疫学の項目に記載がありますので、よろしければご覧になって下さい。
  疫学: http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k04/k04_11/k04_11.html

 また、主症状・治療・予防などについては下記のURLをご覧下さい。
  主症状、治療、予防:http://www.pref.osaka.jp/chikikansen/kansen/noro.html

 

(細菌課 依田 知子)


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