大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第89号− 2011年1月31日発行


加工食品を対象とした残留農薬一斉分析法の開発と実態調査

 食品の産地偽装、消費期限の改ざん、残留農薬など、食に対する安全・安心の関心が高まるなか、平成19年末から平成20年初頭にかけて、有機リン系農薬(メタミドホス)が高濃度に混入した冷凍餃子による中毒の発生事件は、私たちを震撼させました。この事件をきっかけとして、生鮮食品(野菜・果実・穀類など)だけでなく、これらの原料を加工して調理された加工食品の残留農薬検査のニーズが特に高まりました。

 加工食品は、たとえば、餃子のように多種類の原料が混在して調理過程が複雑なものなど、生鮮食品に比べて残留農薬の検査が困難です。また、脂質など、加工食品に含まれる成分によって、残留農薬を検査(分析)する過程で、妨害成分として、分析機器や検査数値に大きく影響を及ぼします。このため、分析に工夫を凝らし、これらの妨害成分を検査過程で効率的に除去する必要があります。

 そこで、当所では、多種類にわたる加工食品について、より多くの農薬を一斉に検査できる分析法(残留農薬一斉分析法)の開発を目指しています。開発にあたっては、食品の摂取による中毒症状などの原因究明にも対応できるように、迅速性や簡便性を重要視しています。

 まず、餃子のような脂質の多い加工食品を対象とした一斉分析法を開発しました。この一斉分析法により、餃子を含め、カレー、シチュー、シューマイ、フライ(ポテト、白身魚、鶏唐揚げ)、お好み焼き、キンピラ、ピラフなど、脂質の多い75品目の市場に流通している加工食品の実態調査を行ったところ、全ての食品が食品衛生法で定められた基準に適合していました。

 次に、ジャム、漬け物やキムチなど、脂質が少ないもので、糖分、塩分あるいは香辛料を多く含むような加工食品を対象とした一斉分析法を開発しました。脂質の多い加工食品の実態調査と同様に、開発した一斉分析法で、市場に流通している74品目を実態調査したところ、2品目の漬け物から、食品衛生法で定められた基準値を超過する値の農薬が検出されました。検出された残留農薬量は、農薬の毒性や漬け物の摂食量などから判断すると、健康被害が発生するレベルではありませんでしたが、食品衛生法違反食品として、販売者によって自主回収され店頭から撤去されました。

 さらに、現在、様々な飲み物を対象に、迅速で簡便な残留農薬一斉分析法の開発を行っており、ワインで、その実用性の検証を行うことができました。

 これら加工食品の残留農薬一斉分析法の開発によって、生鮮食品だけでなく、多種類にわたる加工食品を網羅的に幅広く検査できることを期待でき、府民の食の安全安心向上に貢献できると考えています。

(食品化学課 福井 直樹)


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