2004年5月31 日 第9号        
 
   目次
・ 巻頭言
・ 今月の話題
  続・風しん -国内では-
・ 研究の窓から
 1、 HIV感染拡大中
 2、 抗菌加工繊維製品中のヒノキチオールの分析法と光分解による抗菌効果の増強について
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 先日京都府の方から鳥インフルエンザの話を聞き、大変なご苦労を知り、また鶏舎の悲惨さに心をうたれました。そのすぐ後に、CDCの方から、ベトナムでの状況と、ヒトでの死亡率が68%と言うことを聞きました。WHOでは、ヒト・ヒト感染は認めていないようですが、それはあると言う見解でした。まだヒトでの新型インフルエンザの爆発的な流行には至っていませんが、近年の状況から考えて、それに備える必要があると考えられます
 
*今月の話題
「続・風しん -国内では-」
 
 大阪府内の風しん患者数は21週(5/17-23)で定点あたり0.03と、先月お知らせした状況と大きな変化はありません。
 先天性風しん症候群(CRS)の患者が第15週に岡山県から報告され、本年は既に3例となりました。全国の小児科定点医療機関から報告される風しんの患者数も本年は増加が認められており、第17週までの累積報告数は1,899人〔昨年1年間の累積報告数は2,795人(暫定値)〕です。
 今回報告された症例では、母親は中学生の時に予防接種を受けているにもかかわらず、CRSが発生しました。風しんワクチン接種により95%以上の人が抗体を獲得しますが、抗体ができない場合もまれにあります。また一旦抗体ができても接種後年数が経過し血清抗体価が低下すると、風しんの患者と接触があった場合、感染することもあります。この感染が妊婦におこった場合、症状のあるなしにかかわらずCRSの児が出生する可能性があります。そのため、CRSの発生を防止するためには、社会全体で風しんの流行そのものを抑制することが必要です。定期接種の対象者だけでなく、男女ともに免疫のない人は任意接種を受けることをお勧めします。また女性の方は、妊娠中のワクチン接種はできず、接種後2ヶ月間は避妊が必要ですのでご注意下さい。           (ウイルス課 宮川)
 
*研究の窓から
「HIV感染拡大中」
 
 去る5月11日、世界保健機関(WHO)は、2004年版の「世界保健報告」を発表しましたが、その中でHIV/エイズ対策は「世界で最も緊急な課題」として挙げられています。この報告で、現在のHIV感染者は全世界で3400万から4600万人と推計され、これまでに2000万人の人がHIVによって死亡したことが明らかにされました。
 日本においてもHIV感染者数は増加の一途をたどっていて、大阪府も例外ではありません。大阪府内における新規HIV感染者・エイズ患者数はそれぞれ、平成14年は72人・23人、平成15年は72人・19人で、最近の2年間で毎年100人近くの新規感染者・患者が見つかっており、累計HIV感染者・エイズ患者数も600人を突破しました。
 当研究所では1992年以来12年にわたって、大阪府内の性病科、婦人科などの医療機関と連携し、HIV感染に対して感染リスクの高い性行動を取っていると思われる人々に検査を勧めており、これまでに67人のHIV感染者を発見しました。その約半数近い28人の感染者がこの3年間で見つかり、感染者の急増が懸念されています。
 これまで当所で見つかったHIV感染者の多くは、外国人女性の性風俗産業従事者と、日本人の男性同性愛者でした。しかし一般の人々の間でも性病(性感染症)の感染率が上昇している現在、ごく普通の性生活を営む人々へHIV感染が広がる可能性が高くなってきていると思われます。今後は男性同性愛者など感染リスクが高い人々はもとより、若年期から男女への啓発・感染予防対策に今まで以上に力を注ぐ必要があると考えられます。 (ウイルス課 川畑)
 
「抗菌加工繊維製品中のヒノキチオールの分析法と光分解による抗菌効果の増強について」
 
 最近の清潔志向に伴って、抗菌加工した製品が増えてきています。ヒノキチオールやヒバ油は安全な天然抗菌剤として抗菌加工繊維製品への使用が急増しています。ヒノキチオールというのは、ヒバ油(ヒバから抽出した精油)中の抗菌性を有する1成分で、歯磨き剤や化粧品へ使用されてきました。また、食品保存料としても許可されています。しかし、ヒノキチオールが原因でアレルギーになったという報告もあり、必ずしも安全だと確認された訳ではありません。そこで、市販製品中にはヒノキチオールがどのくらいの濃度で使用されているのかを調査するために、全波長での確認・定量ができるフォトダイオードアレイ検出器を用いた高速液体クロマトグラフィー法による高感度な分析法を新たに開発しました。この分析法では試料1グラム中の百万分の1グラムのヒノキチオールも分析できます。ヒバ油又はヒノキチオール加工と表示のある市販繊維製品を分析しましたが、すべての製品からヒノキチオールが検出されませんでした。
 その原因を明らかにするため、ヒノキチオールを充填したマイクロカプセルを付着させた標準加工布を作製し、光を照射して、布中のヒノキチオール残存量の経時変化を観察しました。その結果、ヒノキチオールは速やかに消失し、その主原因は光分解である事を明らかにしました。つまり、市販製品からヒノキチオールが検出できなかった事を裏付ける実験結果でした。
 さらに、黄色ブドウ球菌と肺炎かん菌の2種類の試験菌を用いて、照射布の抗菌力評価を行いました。その結果、光照射した布は、黄色ブドウ球菌に対して、未照射布より強い抗菌活性を示しました。つまり、ヒノキチオールの光分解産物はより強い抗菌活性を発現するという、新知見が得られました。ヒノキチオールによる抗菌力やヒトへの影響を、光分解産物も含めて詳細に調べ、安全性評価を行うことが、今後の課題です。 (生活衛生課 中島 晴信、 大阪府立産業技術総合研究所との共同研究)
 
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