大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第90号− 2011年2月28日発行


MRワクチン接種率の向上に向けて

はじめに

 2007年関東地方を発端に全国的に麻しん(はしか)が流行し、大きな問題となりました。これまでに見られていた流行では患者の中心は乳幼児でしたが、2007年の流行では高校生や大学生といった比較的年齢の高い層で患者が多く、社会的にも大きな影響がありました。麻しんはいったん発症すると大人でも子供でも重症化する例が多く、また非常に感染力の強い疾患で、一人でも患者が発生すると公衆衛生上の大きな問題になります。
 日本では2012年に麻しんを排除することを目標に予防接種率の向上と維持をはじめとし、患者発生の把握と対応など現在多くの取り組みがなされていますが、ワクチン接種率と麻しん発生時の対応には未だ解決すべき問題が残されています。

   

麻しんとは

 麻しんは、麻しんウイルスによっておこる急性感染症で、ウイルス感染後10〜12日の潜伏期間を経て発症します。空気感染、飛沫感染、接触感染とも認められる非常に感染力の強いウイルスで、抗体を持っていない人はほとんど全て発症します。典型的なものでは発熱と上気道炎、結膜炎などのカタル症状がみられたのちに、顔面から全身に拡がる発疹と39℃を超える高熱がみられます。カタル期の感染力が強いため、発疹が出現して麻しんが疑われる前にすでに感染が拡大していることもあります。

   

MRワクチンと大阪府内のワクチン接種率

 麻しんの予防には生ワクチンが有効で、2回接種を徹底することで麻しんの感染を予防することができます。現在は麻しん・風しん混合生ワクチン(measles-rubella: MRワクチン)が主に用いられており、予防接種法に定められた1歳児(第1期)と小学校就学前の児(第2期)を対象にした定期2回接種に加えて、さらに2回接種の年齢層を拡大するため、2012年までは中学1年生(第3期)、高校3年生相当(第4期)も定期接種の対象となっています。また、平成23年度は海外に修学旅行にいく高校2年生も定期接種の対象となることが決まっています。
 しかし、制度として2回接種が行われていても、実際に接種がすすんでいないという問題があり、厚生労働省の調査では、残念ながら大阪府の麻しんワクチン接種率は第1期を除いて全国的に最下位レベルにあります。平成21年度の大阪府の麻しんワクチン接種率は、1期93.7%、2期88.9%、3期79.9%、4期68.1%と、いずれも麻しん排除に必要なワクチン接種率である95%には及ばない状況です。このままでは一時的に麻しんの流行は小さくなっても免疫が不十分な層が蓄積すると流行が繰り返されることになりかねません。
 麻しんはワクチンで予防でき、また予防すべき疾患です。1期〜4期の接種対象者の方々がきちんとワクチン接種することが、麻しんの予防には最も大切です。対象者とその保護者の方々には、ワクチンの重要性をしっかり認識していただければと思います。また、ワクチン接種率の向上と麻しん排除にむけて、医療・行政・教育など関係機関のさらなる連携と協力が今、求められています。

 

(ウイルス課 倉田 貴子)


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