大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第96号− 2011年8月31日発行


個人ホルムアルデヒド曝露濃度と住宅の築年数

 私達の生活環境には、多くの化学物質が存在しています。新築やリフォームした住宅に入居したり、新しい家具を購入すると、眼がチカチカする、涙や鼻水が出る、めまいや吐き気がするなどの症状が出ることがあり、「シックハウス症候群」と呼ばれています。これらの症状を引き起こす原因物質の1つがホルムアルデヒドです。

 ホルムアルデヒドは刺激臭のある無色の気体です。接着剤、塗料、防腐剤などの成分で、建材に広く用いられています。しかし、居住者のホルムアルデヒド曝露の実態はあまり調べられていません。
 私達は、日常生活の中で一般の人達がどの程度のホルムアルデヒド曝露を受けているのかを調べ、新築やリフォームをした場合にはホルムアルデヒドの曝露濃度がどうなるのかを検討しました。

 調査は大阪府内に住む169名の方の協力を得て行いました。ホルムアルデヒドの捕集は、胸元にサンプラーを24時間付けていただくことで行いました。
 図1は、「10年以内の新築あるいはリフォームとホルムアルデヒドの個人曝露濃度の関係」を示したものです。新築やリフォームをした人の群が、しなかった人の群よりも個人濃度が有意に低くなりました。
 図2は、「10年以内の新築と個人曝露濃度の関係」を示したものです。最近10年以内に新築をした場合、新しい住宅に住む人ほど個人濃度が低くなる傾向がありました。

    


 国は2003年7月1日に「シックハウス対策のための規制導入改正建築基準法」を施行し、ホルムアルデヒドに対する対応がとられるようになりました。これはホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制をする法律で、対象は住宅、学校、オフィス、病院等、全ての建築物の居室です。内容は、@内装仕上げの制限(表1)、A換気設備設置の義務付け、B天井裏などの制限(表2)となっており、@からBの全ての対策が必要となりました。

 


 図1、図2から得られた結果は、2003年度の法改正以降、住宅の設計、施工、リフォームに化学物質の発生が少ない建材や合板、壁紙等が使われるようになったため、ホルムアルデヒド曝露が改善されてきたことによるものと考えられます。

 ホルムアルデヒドに限らず、建物内で健康への影響が見られる化学物質の吸入を避けるのに最も有効な手段は換気を行うことです。快適な生活環境を維持するためにも、こまめな換気を心がけましょう。

(生活環境課 東 恵美子)


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