大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第97号− 2011年9月30日発行


ゲルマニウム半導体検出器について

 メールマガジン第92号(2011/4/28発行)の【今月の話題】で「食品中の放射性物質の測定について」の記事を掲載しましたが、8月19日より実際に食品中の放射性セシウムやヨウ素の検査を開始しました。今回はこの食品中の放射性物質の検査についてより詳しくお伝えしたいと思います。

 放射性物質は不安定な物質で、放射線を出して別の物質に壊変します。例えばラジウムはアルファ線を放出してラドンに、セシウムはベータ線を放出してバリウムになります。また、壊変した元素は不安定で、ガンマ線を放出してより安定な状態に落ち着こうとします。このガンマ線は物質によってエネルギーが決まっており、放出されたガンマ線エネルギーを測定することによって、どの放射性物質が存在したかがわかります。ゲルマニウム半導体検出器は、このガンマ線を測定することができます。

    

        

 半導体は電子部品でよく用いられ、「電気が(条件次第で)流れる」性質を持っています。ゲルマニウムも半導体であり、ガンマ線の検出にも「電気が流れにくい」性質を利用しています。ゲルマニウム半導体検出器では、回路につないだゲルマニウム結晶を液体窒素で-200℃近くまで冷却しておき、電気が流れない状態にします。ガンマ線は物質に当たると電子を電離する作用があるため、このゲルマニウム結晶にガンマ線が当たると電気が流れます。このときのエネルギーを測定して放射性物質の種類を決定します。また、放射線を検出した回数を記録して一定時間測定することにより、放射性物質の濃度を計算することができます。写真1中央の銀色の円筒形のものが透明なカバーに覆われたゲルマニウム結晶です。検出器の周囲は自然放射線を遮断するために、厚さ100mmの鉛で覆われています。下部には冷却するための液体窒素を入れたデュワー容器が収納されています(写真2)。


写真3

 測定時に使用する大型の容器は、ゲルマニウム結晶を上から覆うような構造をしており、容器に詰めた試料からの放射線を受け易くなっています。写真3は肉試料を詰めている途中のもので、中央に円筒形状の凸起が見られます。試料は上の赤い線まで詰め、重量を測定します。肉の試料であれば約2kg、葉菜類では約1kgになります。試料が詰められた容器は検出器に入れられ、一定時間計測が行われます。

 セシウムが検出されると図1のようなガンマ線のパターンが得られます。横軸はエネルギー(チャンネル)で縦軸は計数値です。各チャンネルのエネルギーが何回計測されたかが表されています。セシウム137からは1種類のガンマ線が、セシウム134からは複数のガンマ線が一定の比率で検出されます。この計数値と試料重量から放射能濃度(Bq/kg)を算出します。


図1

 検査対象食品は牛肉を中心とし、野菜や魚等幅広く検査しておりますが、現在までのところ暫定基準を超えて検出された例はなく、流通している食品が安全であることが示されています。

(食品化学課 起橋 雅浩)


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