大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第98号− 2011年10月31日発行


食品に含まれるアレルギー物質の表示基準について

 厚生労働省では、食品に含まれるアレルギー症状を引き起こしやすい成分(アレルギー物質)を特定原材料に指定しています。また、特定原材料による健康被害の発生を防ぐため、食品の原材料欄への特定原材料の表示を義務づけています(#1)。特定原材料には現在、乳、卵、小麦、そば、落花生、えび、かにの7品目が指定されています。今回は、どういった場合に特定原材料の表示が必要となるのか、その基準と表示する理由を簡単に説明します。あわせて、あまり知られていない注意喚起表示(#2)の意味についても触れたいと思います。(特定原材料の具体的な表示方法や表示例については、消費者庁のホームページ(#3)等をご覧下さい。)

 表示基準の原則は、
  1.特定原材料を原材料に含む食品は原材料欄に表示する
  2.特定原材料を原材料に含まない食品は表示しない
 というものです。

 ただ、この考え方では特定原材料のコンタミネーション(混入)(#4)が起こった場合、アレルギーの発症による健康被害の発生を防止できない可能性があります。特定原材料のタンパク質が最終製品中に濃度として数μg/mLもしくは数μg/gより少ない場合には、健康被害が発生する可能性が低いとされています。そこで、この濃度を基準として全ての食品に対し、以下のように対応しています。

  A.最終製品中に常に特定原材料が含まれ、またその濃度が数μg/mLもしくは数μg/gより多い場合には、原材料欄に表示する

  B.最終製品中に常に特定原材料が含まれる状態ではないため食品への表示はできないが、最終製品中の特定原材料の濃度が数μg/mLもしくは数μg/gより多いことがある場合には、原材料欄の外に注意喚起表示を行う

  C.最終製品中の特定原材料の濃度が数μg/mLもしくは数μg/gより少ない場合には表示しない

 以下に表示例を示しました。実際の食品では、最終製品中の特定原材料の濃度と、特定原材料が常に含まれるかどうかにより判断することになります。

 例1:原材料に特定原材料は含まれないが、特定原材料を原料に含む食品と共通の製造ラインで製造され、最終製品に常に数μg/gを超える濃度で特定原材料が含まれる食品
 →原材料欄に特定原材料名を表示する

 例2:ときには最終製品に数μg/gを超える濃度でえびやかにが含まれる、シラスを原料に用いた食品
 →「この製品に使われているシラスはえびやかにと一緒に捕獲されています」等の注意喚起表示を行う
 補足:シラス等の小魚の捕獲時、小さなえびやかにが混ざることが知られています。この食品の場合、最終製品に数μg/gを超える濃度でえびやかにが含まれることがあるため、注意喚起表示が必要になります。

 例3:最終製品中の特定原材料の濃度が数μg/gより少なくなる、微量の特定原材料を原材料に用いた食品
 →特定原材料名を表示しない

 食品に含まれるアレルギー物質の表示制度の目的は、食品に対するアレルギー症状を持つ、あるいはその可能性のある人が様々な食品の正確な情報を知り、安全、安心な食生活をおくるための情報を提供することです。当研究所では、食品中のアレルギー物質の濃度を検査し、保健所と協力しながら食品に含まれるアレルギー物質の表示が正しいかどうかを調べています。今後とも、食品に含まれるアレルギー物質に関する正しい情報提供を行っていきたいと考えています。

 #1 食品表示の業務は平成21年9月1日より消費者庁に移管されました。

 #2 注意喚起表示:上記B.の内容が当てはまる食品について、消費者への情報提供を行うための制度です。原材料欄の外に表示を記載し、コンタミネーションの危険性を消費者に分かりやすく示します。アレルギー物質の表示では可能性表示(「入っているかもしれません」等)は禁止されています。そのため、注意喚起表示は結論をぼかしたような表現になっています。

 #3 消費者庁ホームページ アレルギー表示に関する情報
 http://www.caa.go.jp/foods/index8.html

 #4 コンタミネーション:特定原材料を原材料として用いていない食品で、原材料もしくは製造工程のどこかの段階で特定原材料が混入し、最終製品中に含まれることをいいます。健康被害が発生する可能性が高くなることから、コンタミネーションは可能な限り防がなければなりません。しかし、製造現場の対策のみでは防ぐことが難しい場合があります。そのような場合、上記のA.〜C.のような食品への表示基準で対応することが望まれます。

(食品化学課 吉光 真人)


▲ページの先頭へ