大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第12号− 2004年08月31日発行


生活排水処理と浄化槽(その2)!

 (その1)では、既設浄化槽にも窒素・りん除去が課せられ、多くの施設でその対応が必要となっていることを述べました。今回は、既設浄化槽に適用可能な、窒素・りん除去の研究について説明します。

 処理方式は、汚泥発生量の増加をまねかない、生物学的窒素・りん同時除去法を検討しました。窒素・りん除去を生物学的に行うには、嫌気*ゾーン・無酸素ゾーン・好気*ゾーンを適切に組み合わせる必要があります。本研究のポイントは、ばっ気*槽で間欠ばっ気を導入して、窒素除去に必要な無酸素ゾーンと好気ゾーンを形成するとともに、りん除去に必要な嫌気ゾーンの形成に既設の流量調整槽を利用したことにあります。そのために、通常は沈殿槽からばっ気槽流入部に返送している返送汚泥の一部を、流量調整槽に返送する配管設備を増設しました。

 既設浄化槽において運転方法を本方法に変更してから約1ヶ月程度で、新設浄化槽に適用される窒素10 mg/L、りん1 mg/Lの規制値を下回り、その後も、窒素・りん濃度はかなり低い濃度で推移していることを確認しました。また、年間を通じて安定した処理を行う運転条件や、維持管理する上で指標となる項目についても検討しました。

 さらに、この施設で、設計時の運転方法であるBOD*除去のみを目的とした長時間ばっ気運転と、この方法によるBOD・窒素・りん同時除去運転での電気使用量を比較したところ、1年間で約44万円に相当する電気量が削減できることがわかりました。

 排水処理技術の進歩は著しく、新しい施設では高度な処理が可能です。しかし、既設の浄化槽などのすでに設置されている処理装置には、そのような技術は組み込まれていません。今回述べましたように、施設改修が簡易で運転コストが増加しない窒素・りん除去技術があれば、既設の施設でも対応が可能になります。本研究の成果が、他の施設へ適用できるよう今後も研究を継続していく予定です。

(環境水質課 奥村)

*好気:

水中に遊離の酸素分子がある状態。


*嫌気:

水中に遊離の酸素分子および結合型酸素(硝酸性窒素など)もない状態。


*ばっ気:

空気と液体を接触させて、液体に酸素を供給すること。


*BOD:

生物化学的酸素要求量(Biochemical oxygen demandの略)。水中の有機物などの汚濁物を微生物が分解するときに利用する酸素の量。水中の有機物汚濁負荷の指標となる。



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