大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第15号− 2004年11月30日発行


生薬の残留農薬汚染実態調査!

 生薬は、長期間にわたり連用される可能性が高いことから、安全性に関して特別の配慮が必要であると考えられます。しかし、生薬中に残留する農薬の実態に関しては、現在でもわからない部分が数多く残されており、1997年まで、我が国はもとより、諸外国においても分析法や残留基準が設定されていませんでした。我が国では、現在でもわずか2種類(BHC,DDT*)の農薬が、2種類の生薬(ニンジン、センナ)について残留基準が定められているにすぎません。現在、全世界で約700種類の農薬が使用されており、我が国においては、食品では242種類の農薬について残留基準が設定されています。一方、国が重要とする医薬品を集めた公定書である日本薬局方には現在、120種類もの生薬が収載されています。さらに、最近では、基準値を超える残留農薬を含有している、合成抗菌剤を使用している等、輸入食品の安全性に対する信頼を損なわせるような調査結果が相次いで発表されています。生薬もその大部分が中国をはじめとする諸外国からの輸入品であるため、安全性に関して食品と同様のことが懸念されます。

 このような状況の中、当所では1990年代はじめより、生薬および漢方エキス製剤中に残留する有機塩素系農薬について、分析法を開発し実態調査を行っています。その結果、1990年代当初は、数多くの生薬中からBHCが検出され、ニンジンから特に高い濃度のBHCが検出されたことなどを明らかにしてきました。また、ニンジンの有機塩素系農薬による汚染の実態を継続的に調査し、汚染レベルが経年的に低下してきていることなども確認してきました。しかし、現在の生薬が置かれている状況を考慮したとき、また、大阪府が我が国最大の生薬取引市場であることを考えたとき、今後、より多くの生薬を対象とし、より多くの農薬成分について実態調査を行わなければならないと考えています。

(薬事指導課 梶村)

*BHC:

ベンゼンヘキサクロリド 日本では毒性・残留性が強いことから1971年農薬として失効。日本薬局方の生薬残留基準は0.2ppm


*DDT:

ジクロロジフェニルトリクロロエタン 日本では毒性・残留性が強いことから1971年農薬として失効。1981年特定化学物質に指定され全ての用途で製造・販売・使用が禁止された。



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