大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第19号− 2005年03月31日発行


キャッサバ菓子食中毒死事件!

 3月9日、フィリッピン中部ボホール州マビニの小学校で、校外の露天商から買ったキャッサバの揚げ物を食べた生徒27人が死亡、100人以上が入院する事件がありました(3月10日新聞報道など)。

 キャッサバ(タピオカ)は、細長いダリアの球根のような芋をつくり、全世界の熱帯域で主食として栽培されている植物です。品種によって異なりますが、芋にはシアン化合物(配糖体)が含まれており、そのまま食べると中毒を起こすことが知られています。したがって、上の中毒事件はシアンによるものと推測されました。

 厚生労働省は早速3月10日「輸入食品に対する検査命令の実施について(キャッサバ)」で、キャッサバおよびその加工品の輸入食品については、現在詳細を確認しているが、念のためシアン化合物を検査する命令を出しました。

 ところが、3月18日フィリピン調査当局は、シアン化合物の可能性を除外し、露天商の家のフライパンに残っていたもの及び死亡した小学生2名の血液と胃の内容物から有機リン系農薬クマホスが検出されたことを発表しました。露天商の家には小麦粉を入れていた容器とよく似た容器に農薬があったことが見つけられており、小麦粉と間違って使った可能性があるとしています。

 この間、関係機関は3月11日「シアン化合物」の疑い、3月14日には「カーバメイト系農薬と感染症」の疑いなど揺れ動いた発表をしました。シアン化合物から農薬に疑いが変わっていった過程には、子ども達の治療に有機リン系農薬中毒に有効なアトロピンが有効だったこともあります。伝えられている症状は、早い場合5分から10分で、激しい胃痛、嘔吐、下痢ですが、今後の報告を待てば詳しいことがわかるでしょう。

 この事件は「和歌山ヒ素カレー事件」を思い出させますが、私達の身近でこのようなことが発生しても、詳しい症状と状況の把握が原因物質の推測に役立ち、被害者を救うことにつながる早道だと改めて認識した事件でした。このような健康危機に対して、公衛研も含め地方衛生研究所が対応できるよう、毒物検査法の準備や、症状から原因を推測するデーターベースの充実を行っています。

(企画調整課 赤阪)


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