大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第19号− 2005年03月31日発行


河川水中のキレート剤の実態調査!

 キレートとはギリシア語で「カニのはさみ」を意味します。キレート剤はカニが獲物を両方のはさみではさんでいるかのように、金属イオンを捕らえることから名づけられました。その用途は、たとえば固形石鹸ではカルシウムイオン等の金属イオンが多量に存在すると泡立ちが悪くなり洗浄力が低下しますので、キレート剤を加え金属イオンを除去し洗浄力を保持させています。類似の用途でキレート剤は、石鹸・洗剤工業、紙・パルプ工業や繊維工業などで広く使用されています。

 アミノカルボン酸系キレート剤*のうちEDTA(エチレンジアミン四酢酸)は、平成16年4月の水道水質基準の改正に伴い「要検討項目」**に設定されました。WHO(国連世界保健機関)でも飲料水水質ガイドライン値が定められています。またNTA(ニトリロ三酢酸)はわが国では水道水質基準はありませんが、IARC(国際ガン研究機関)によって発がん性が2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)とされ、WHOでは飲料水水質ガイドライン値が定められています。しかし、水道水源となる河川水中に存在するEDTA及びNTAを含むアミノカルボン酸系キレート剤の実態はほとんどわかっておらず、その調査が必要とされています。

 2004年夏に私どもが行った調査では、淀川などの河川水中にはEDTA及びNTAが広く存在することがわかりました。また、その他のキレート剤ではHIDA(ヒドロキシエチルイミノ二酢酸)なども検出しました。しかし、淀川本川で検出されたEDTAレベルは水道水質基準「要検討項目」の目標値(0.5mg/L)の50分の1程度であり、NTAはWHO飲用水水質ガイドライン値(0.2mg/L)の100分の1程度のレベルでした。したがって、大阪府内の河川水中のEDTA等アミノカルボン酸系キレート剤のレベルは、水道水源として問題のないレベルであることを確認しました。

(環境水質課 小泉)

*:

アミノカルボン酸系キレート剤:最もよく用いられるキレート剤の一つ。EDTA、NTAをはじめ構造が類似した一連の化合物をいう。


**:

要検討項目:毒性評価が定まらない、あるいは浄水中の存在量が不明などの理由から、水質基準項目及び水質管理目標設定項目のいずれにも分類できない項目。



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