大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第21号− 2005年05月31日発行


食品中に残留する農薬等のポジティブリスト制度とは!

 食品中の残留農薬は食品衛生法で規制されています。そこでは農産物を133種類に分類し、それぞれ多数の農薬についての残留基準値が決められています。この残留基準値の設定された農薬が、その基準値を超えて残留していた場合には、その食品の流通を禁止することになります。これを言い換えると「リストに載っている農薬が基準値以上ならば違反(リスト外は対象外)」になり、残留基準値が設定されていない農薬については、基本的に取締りの対象外でした。取締りの対象を広げるため、ここ10数年で規制対象の農薬数は10倍にも増加し、今では約240種類の農薬の残留基準が設定されていますが、さらに平成18年5月までには現在の倍以上の650以上の農薬等について規制される予定です。これに加えて、基準のない農薬等は一律基準値で規制することになります。言い換えると「リストに載っている農薬だけが基準値以下の残留を許される(リスト外は違反)」となり、「残留を許可(ポジティブ)されるリスト」という意味でポジティブリスト制度と呼ばれています。これによって、従来ならば残留基準値が設定されている農薬だけが規制対象となっていたのが、全ての農薬等が規制対象に含まれることになります。

 「農薬」は農薬取締法で定義され、農作物等を害する病害虫の防除に用いられる薬剤と、農作物の生理機能の増進又は抑制に用いられる薬剤が該当します。農薬は農林水産省へ登録したものだけが販売を許可され、代謝試験や毒性試験、残留性の試験など様々な試験結果で問題が無いことを示す必要があります。毒性試験では動物実験でその影響が調べられ、毎日摂取しても生体に影響のみつからない量が求められます。これにヒトと動物の種の違いによる差があるかもしれないため、安全係数として100分の1をかけて人間の一日許容摂取量(ADI)としています。農薬等の個々の残留基準値は、このADIと各食品の摂取量や農薬の使用実態を考慮して作成されています。販売を許可された農薬は、適用農作物や対象病害虫、使用方法が容器に明記されており、それに従って使用していれば残留基準値を超えることはありません。また、農薬の登録は期限が3年なので、製造会社が登録の更新をしなかった農薬は登録抹消されます。こういった古い製品の国内での販売、使用は農薬取締法違反になりますが、残留基準値を超えない限り食品衛生法上は問題になりません。 

(食品化学課 起橋)


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