大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第24号− 2005年08月31日発行


マクロファージの活性酸素生成能における鉱物繊維の長さの役割!

 石綿の発ガン性は、その繊維形状に依存することは1970年ごろから動物実験で示されてきました。従って、その後開発された石綿の代替鉱物繊維もその繊維形状から発ガン性を持つのではないかと問題になっています。疫学的には石綿代替鉱物繊維の発ガン性は現在のところ認められていませんが、動物実験ではいくつかの石綿代替鉱物繊維で腫瘍発生が認められています。

 考えられている石綿の発ガンメカニズムの一つに、肺に吸入された石綿をどん食したマクロファージ(様々な異物を細胞の中へ取り込み処理する細胞)が放出する活性酸素が関与するという考えがあります。私達は、9種類の石綿代替鉱物繊維を用い、マクロファージの活性酸素(スーパーオキサイド)放出能は鉱物繊維の種類にかかわらず、繊維の長さに依存すること(繊維が約6ミクロンより長くなると急激にスーパーオキサイド放出能が強くなること、また、繊維長さと放出能との関係は直線的関係であること)を認めました。石綿では実験動物に腫瘍を発生させるには8ミクロン以上の長さが必要なことが示されており、私達の実験は、鉱物繊維の長さの作用は石綿と代替繊維で同様である可能性を示しました。

 2002年のIARC(国際がん研究機関)の報告によると、疫学調査の結果、ヒトに対する代替鉱物繊維の発がん性は認められない、あるいは判断するのに十分なデータがないとしています。動物実験では、吸入させたり肺に注入して与えたところ、代替鉱物繊維の内グラスウール、ロックウール、スラグウール、新しく開発されたアルミナ繊維は、肺に腫瘍をおこさなかったとして「3:発がん性を認めない」と分類しました。一方、E-ガラスや「475」と名付けられた特殊な用途のガラス繊維、セラミック繊維は肺に腫瘍を引き起こすことがわかり、「2B:ヒトに対する発がん性が疑われる」と分類しています。私達の試験管内の実験では、マクロファージに活性酸素を発生させる力はグラスウールやロックウールとセラミック繊維とで同様でした。グラスウールやロックウールは実験動物の肺の中で留まる時間が短いことが知られており、これが動物実験と結果が異なる原因と考えられます。

 石綿から代替鉱物繊維への転換が進んでいます。代替繊維の安全性についても注意が必要だと思われます。ヒトに対する発ガン性などの影響を疫学調査で調べるには、もっと年数が経つ必要があると考えられているからです。

(生活衛生課 大山)


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