大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第25号− 2005年09月30日発行


最近の食中毒!

 現在のわが国の衛生状態は戦後の混乱期と比較にならないほど改善されており、世界的に最も衛生環境の整った国の一つとなっています。それに伴って全国の食中毒による死者数は、統計をとりはじめた1950年代は300人前後であったのが最近では10人前後となり激減しています。一方、患者数は当時から現在に到るまで2万5千人から5万人とほぼ横ばい状態で、毎年多くの方が食中毒で苦しんでおられます。死者数が激減した理由は病原性の強い赤痢菌、チフス菌などがほとんど見られなくなったためで、患者数が減少しないのは輸入食品の増加、食品流通の広域化、飲食チェーン店の増加などにより大規模な食中毒事例が増えていることと、原因物質として感染性の強い腸管出血性大腸菌O157、カンピロバクター、サルモネラエンテリテイデス、ノロウイルスなどが現れてきたためだとも思われます。

 大阪府内で今年1月から8月までに発生した食中毒は60件、患者数は1797人です。食中毒の病因物質別については、カンピロバクター19件(137人)、ノロウイルス11件(103人)、腸炎ビブリオ5件(515人)、腸管出血性大腸菌4件(13人)、サルモネラ2件(6人)、ウエルシュ菌2件(829人)、その他の病原大腸菌2件(53人)、ブドウ球菌2件(10人)などによって占められます。大規模食中毒事例としては5月に大阪市内の仕出し屋の弁当による674人のウエルシュ菌による食中毒、8月に茨木市内の仕出し店の寿司、会席料理による465人の腸炎ビブリオによる食中毒がありました。

 病因物質と原因食品にはある程度の関連性があり、ノロウイルスはカキ類(生カキ)、サルモネラは卵(生卵)、カンピロバクターは鶏肉(バーベキュー)、腸炎ビブリオは鮮魚介類(寿司や刺身)腸管出血性大腸菌O157は生牛肉(生レバー)などが原因となりやすいものです。以上のように食中毒の多くは生(未加熱)あるいは加熱不十分な食品を食べることによって起こります。特に乳幼児、児童は重篤になる場合もあり、これらの食品の生食には十分な注意が必要です。最近では一年を通して食中毒の発生が見られますが、発生季節と病因物質にも関係があり、ノロウイルスによる食中毒は冬季、腸炎ビブリオは夏季に多く発生します。サルモネラ、腸管出血性大腸菌O157による食中毒も夏季に多いのですが、それ以外の季節にも発生します。カンピロバクターによる食中毒は一年を通して発生しますが、やや春季に多い傾向が見られます。

 細菌性食中毒を防ぐための三原則というのがあります。一つ目は調理場(台所)を清潔にして食材にいるかもしれない食中毒細菌をあちらこちらに付けないこと。二つ目は調理した食品はできるだけ早く食べること。すぐに食べないあるいは使わない食品は冷蔵庫に入れて病原菌を増やさないようにする。三つ目は十分に加熱(75℃、1分 ただしノロウイルスは85℃、1分)して病原物質を殺すことです。食中毒の多発する長い夏が終わりこれから本格的な秋になりますが、食中毒に終息はありません。上記3原則を遵守して健康な生活を過ごされることを望みます。

(細菌課 塚本)


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