大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第30号− 2006年02月28日発行


ふぐ鍋のおいしい季節です。素人調理に御用心!

 ふぐ料理店や寿司屋さんなどでフグが泳いでいる光景を目にされたことがあるかと思います。これはトラフグと呼ばれるフグで、筋肉(身)はもちろん、皮や精巣(しらこ)も無毒です。従って、“てっさ”、“てっちり”の他に“皮の湯引きや”しらこ“も料理として出されています。

日本近海には約40種類のフグが棲息していますが、このうち食用にできるのは21種類で、半数は食用にはできません。また、食用種についても、食用にできる部位が決められていて、筋肉だけが食用となるもの、筋肉と精巣が食用となるもの、筋肉と皮と精巣が食用となるものがあります。肝臓(きも)、卵巣(まこ)、その他の内臓は、食用種であっても、いっさい食用にはできません。

 フグの種類、生息海域、部位(器官)によって毒性の強さが異なりますが、個体差が大きいことも明らかになっています。また、フグ毒(テトロドトキシン)は耐熱性で、通常の加熱調理によって毒性が消失することはありません。「ふぐ通と 呼ばれる人は 肝を食い」という川柳がありますが、肝を食べる人は「ふぐ通」ではなく、単に無知としか言いようがありません。肝臓一切れでも命を落とす危険性があるからです。フグの肝臓を食べて中毒にならなかったのは、たまたま食べた肝臓の毒性が低かったからで、次に食べる肝臓も毒性が低いという保障はありません。自分がフグ毒に免疫があるとか、調理法を自慢に思っている人があるかもしれませんが、とんでもない誤りです。

 大阪府内で発生したフグ中毒事件の原因として、(1)釣ったフグを家庭で素人調理 (2)飲食店が客の求めに応じて肝臓を提供 (3)丸フグ(内蔵を除いていないもの)の販売 (4)許可業者の一般者への丸フグ販売 (5)有毒種の販売 等があげられます。 フグの調理や処理には、一般の調理師免許を持っているだけでは従事できません。各都道府県によって、名称や手続きが異なりますが、免許や資格がいる場合がほとんどです。大阪府の場合は、大阪府ふぐ販売等の規制に関する条例及び同施行規則に基づくフグ処理講習会が、毎年開催されています。年間1500〜2000名が「ふぐ処理講習会」を受講し、「ふぐ取扱登録者」となっています。また、フグの販売営業には、施設ごとに知事の許可が必要となります。

 一般にも知られているように、フグ中毒の症状は、舌、手足のしびれ、嘔吐、運動障害、呼吸困難が主な症状で、重篤な場合は死亡します。潜伏時間は30分〜5時間で毒の接種量が多いと潜伏時間は短く、重症を呈します。フグ毒には特効薬はありません。異常に気付いたら、医師の治療を受けましょう。重症患者の場合、挿管による呼吸管理が有効といわれています。 なお、当所では大阪府食の安全推進課の収去計画に基づいて保健所が収去した市販のフグ加工食品(てっさパック、一夜干し)や、大阪府食品検査所から搬入されるフグについて、安全確認のための毒性検査を実施しています。

 また、フグ中毒発生時には、原因究明のため、調理残品や摂食残品からフグ毒の検出を行っています。残品が得られない場合は、患者の吐物や尿からフグ毒を検出しています。当所で開発した抗TTXマウスモノクローナル抗体を用いる検査法が中毒事件の解明に役立っています。また、原因魚種を特定する必要がある場合には、軟X線レントゲン骨格写真観察や筋形質蛋白質の電気泳動法、遺伝子解析法などによる鑑別を実施してきました。

(細菌課 濱野)


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