大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第31号− 2006年03月30日発行


鉛を含む子ども用金属製アクセサリー!

   3月7日、新聞で子ども向けに販売されている金属製アクセサリー類の中に高濃度の鉛が含まれていることが報道されました。昨年2月アメリカ合衆国政府機関である消費者製品安全委員会(CPSC)が子ども用金属製アクセサリーの一部に高濃度の鉛が含まれていることを発表し、これをうけて東京都が日本国内で市販されているアクセサリーを検査し、その結果を発表したことを報じたものです(http://www.anzen.metro.tokyo.jp/f_lead_accessories_pu.html)。日本にはこの様な製品に対する基準がありませんので、東京都は上のCPSCの基準に従った判定をしています。

 3月8日、厚生労働省化学物質安全対策室は関係団体に対し、鉛の含有状況の把握等の徹底に係る通知を出し、製造、流通、販売等の過程で取り扱う製品中における鉛の含有状況の把握に努めること、外箱への表示や使用上の注意等により、当該製品への鉛含有の状況及び乳幼児への取扱の注意等について、適切に情報提供を行うこと、金属製アクセサリー等の製造業者においては、製品における鉛含有を低減させるよう努めることを依頼しました。

 よく似たものとして、食品衛生法におもちゃの規格基準があります。若干違いがありますが簡単に解説します。また、鉛の生体影響についてもふれます。

 [おもちゃの衛生規格基準]

 おもちゃの種類は非常に多く、用いられている材質の種類はポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ゴム製品、紙等多岐にわたっています。玩具の塗料には、合成樹脂製のものが使用され、また、顔料も金属化合物が使用されていることが多いようです。おもちゃの対象は幅広く、子供全体に使用されているものを指しますが、一般的には、食品衛生法第29条、第1項で指定されている1) 乳幼児が口に接触する紙、木、竹、ゴム、革、セルロイド、合成樹脂、金属または陶製のもの。2) ほうずき。3)うつし絵、折り紙、つみき。4) 風船、おめん、がらがら、動物がん具、人形、ままごと用具等です。

 食品衛生法では、おもちゃの材質によって試験項目が定められており、材質によって、共通のものもありますが、大きく分けて材質試験と溶出試験があります。例えば口にふれるおそれのあるゴム製品(あかちゃんが使用する乳首など)に関しては、材質試験では鉛 10 ppm 以下、カドミウム 10 ppm 以下の規格、薄い酢酸(食酢の成分)に浸して溶け出す量を測定する溶出試験では、重金属(鉛として)1ppm以下の規格があります。

 大阪府においても、食品衛生法に基づいて市販品の分析を行っています。

 [鉛の生体影響]

 鉛は低い温度で溶け、軟らかく加工しやすいなどの性質を持っているので、ハンダ・バッテリー・クリスタルガラスなど私たちの身近でも使われています。以前には、加鉛ガソリン・農薬・陶磁器釉薬・水道管などにも利用されていました。そのため、土壌、河川水などにも含まれており、人は微量の鉛を食品や空気から体内に取り込んでいます。

 身体に入った鉛量は血液中の鉛濃度(PbB)を測って目安としています。PbBが40〜60μg/dL(血液100 ml中)では赤血球の合成に影響を与えますが、貧血を起こすことはほとんどありません。多量の鉛の吸収が続くと倦怠感、疲労感、食欲不振、筋力低下などの自覚症状がみられるようになり、60μg/dLを超えると貧血になる人が出はじめます。また、40μg/dLを超えると末梢神経検査で異常が検出されるという報告もあります。

 鉛の吸収率は成人では粉塵等の吸入で、肺からのものが50%程度で、食事などによる経口(腸管)からの吸収は10%程度です。しかし、幼児・小児は腸管からの吸収率が高く、50%程度になります。さらに幼児・小児は脳への影響が強く、血液中鉛量が10μg/dL以上では知能低下、行動異常、学習障害などが見られるようになると報告されています。また、鉛は胎盤を通して胎児へ移行するため、妊娠中の鉛暴露にも気をつける必要があります。

 通常の生活で成人が鉛の影響を受けることはありません。しかし、小さな子供さんや妊婦さんのおられる家庭では、父親(母親)の職場で鉛粉塵のついた衣服の持ち帰りによる家族の暴露を避けることや、趣味のステンドグラス作りや電気器具・模型のハンダ、魚つりのオモリなど家庭内の鉛を含んだ物の管理に気をつける必要があるでしょう。

(食品化学課 池辺、生活衛生課 小坂)


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