大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第36号− 2006年08月30日発行


柑橘類中における防かび剤の迅速分析法の開発!

   我が国は、グレープフルーツ・オレンジ・レモンなど多くの柑橘類を輸入しています。輸出国では、これら柑橘類を箱詰めする際に、かびの発生を防止する目的で防かび剤を使用しています。現在、日本において使用が認められている防かび剤は、イマザリル、オルトフェニルフェノール、ジフェニル、チアベンダゾールです。これら防かび剤は、食品衛生法に基づいて使用基準が定められており、規制の対象になっています。そのため、検疫所や当所をはじめ全国の衛生研究所で定期的に検査を行い、使用基準値を超えていないかどうか確認しています。

 大阪府では、従来より防かび剤の分析法として、「イマザリル分析法」と、「オルトフェニルフェノール、ジフェニル、チアベンダゾール同時分析法」を用いてきました。イマザリルの分析法は工程が複雑で、全ての防かび剤の測定結果を得るまでに時間がかかっていました。そこで、防かび剤を一斉に測定できる簡便・迅速な分析法を開発しました。

 この分析法の概略を説明しますと、まず試料を有機溶媒で抽出した後、塩析によって水分を分離させ除去します。次に、測定の妨害となる色素類や脂肪酸類をイオン交換系樹脂と逆相系樹脂に吸着させて除きます。測定には液体クロマトグラフ/タンデム型質量分析計* を使用します。

 この新しい分析法は、従来法に比べて精度が向上し、同等以上の回収率が得られることを確認しています。また、検査時間短縮にも成功しております。例えば、当所における従来法 (2 法の合計) では 10 検体あたり 5 時間かかっていた時間を 2 時間にすることができました。さらに有機溶媒の使用量も 1/20 程度になりました。食品化学課では、この新分析法を今年度より検査に適用する予定です。 

(食品化学課 岡本)

*液体クロマトグラフ/タンデム型質量分析計:

 質量分析計とは、イオン源でイオン化された分子や原子を質量の違いにより分離し、検出する分析装置です。この装置は、液体クロマトグラフにより成分ごとに分離した後、2 段階の質量分析計により特定の分子質量だけを検出するもので、液体クロマトグラフのみ又は液体クロマトグラフ/質量分析計に比べて高精度・高感度に測定することができます。



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