大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第37号− 2006年09月29日発行


近畿地域におけるHIVの広がりについて!

 エイズはHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によって引き起こされる病気です。感染当初はほとんど症状もありませんが、治療をしなければ、いずれは免疫機構が破壊され、健康な人ではかからないような様々な感染症などをひきおこします。HIVの主な感染経路は性的接触、母子感染、血液感染ですが、現在の感染の増加は無防備な性的接触によるものがほとんどです。大阪でも新規患者感染者数は年々増加しており、特に同性間の性的接触による感染が急増しています。

 私達は大阪府内にある性病科などのクリニックとの協同で、HIV感染に対して危険度の高い行動をとっていると思われる人々に、HIV検査への働きかけを行い、同意を得られた人々について検査を行っています。この検査の中でも日本人男性の感染陽性者数が急増していることが確認されました。

 この検査の一環として、近畿地域においてどのように感染が広がっているのか、どのようなウイルスが広がっているのか等を知る目的で、この検査でみつかったHIV感染者の体内にあるHIVの遺伝子を解析しました。

 その結果、よく似た遺伝子のHIVをもつ男性同性愛者のグループが大阪府内に複数存在しており、それぞれのグループ内でHIV感染が広がっている実態が明らかにされました。

 また、HIVに感染して薬剤を投与している人の中には、薬がきかない耐性変異をもったウイルスが生じることがありますが、まだ治療を始めていない新たに感染が分かった人の中にも、耐性変異ウイルスに感染した例が見られます。この事は、HIV感染者の中に、薬剤治療を受けながら、他の人に感染を広げている例があることが推測されます。

 また最近になってHIV検査を簡便に受けてもらうために、当日に結果が判明する迅速検査が導入されていますが、この方法でHIV抗体を検出できない感染のごく初期の例が相次いで見つかっています。これらの例についてHIVの遺伝子を解析すると、感染源は別であると考えられ、色々なグループで新たな感染者が増えていることが推測されます。

 これらの事から、確実に広がりつつあるHIV感染に対して、より積極的な予防・啓発活動が必要であると考えられます。

(ウイルス課 小島)

:当所では1次検査が陽性であった場合の確認検査だけを行っています。HIV検査を受けることが出来る病院、診療所、保健所と受け付け時間については「HIV検査マップ」をご覧下さい。


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