大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第5号− 2004年01月30日発行


液体クロマトグラフ-質量分析計(LC-MS)による水道水中の農薬類の検査

 今回水道基準が大幅に見直され、平成16年4月1日より施行される事になりました。その中で「農薬類」は「水質管理設定項目(27項目)」の1項目として設定され、101種類の農薬が対象になっています。

 これまで、水道水中の微量有機物質検査で威力を発揮していたのは、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)です。これは目的物質を熱して気化させる必要があります。しかし、熱しても気化しなかったり、不安定である物質はGC-MSでの測定が不向きなので、それらを測定するために液体クロマトグラフ-質量分析計(LC-MS)が普及し始めています。今回の水道基準改正では、水道水中の一部の農薬類検査にLC-MSが導入されています。

LC-MSは、(1)液体クロマトグラフ(LC)でサンプルの中に含まれている種々の物質を分離し、(2)その分離した物質を質量分析計(MS)で同定と定量を行う装置です。(1)は、LCに注入した試料を分離管に導き目的物質を他の物質と分離させます。次に、(2)MSはイオン化部、質量分析部、イオン検出部から成っていて、イオン化部ではLCから出てきた物質をイオン化させます。分析部では、イオンを電場もしくは磁場の中を通過させ分離します。検出部で、イオンの質量数(大きさ)から物質を同定し、イオン強度からその量を測定します。しかし、GCと比較して、LCカラムは分離能がそれほど良くありません。さらにLC-MSでは、目的物質から物質イオンが一つしか生成されず、試料中の共存物質の影響を受け、物質の同定と定量が困難なことがあります。そこで、質量分析計の後にもう一台質量分析計を結合したLC-MS/MSで測定する方法が考案されました。この方法は、最初のMSで測定された物質イオンを、次のMSでさらに壊してイオン化します。この時のイオンは物質に固有なものですから、そのイオンのみを測定することにより、共存物質の影響を極力抑え、測定値の信頼性と検出感度を大幅に向上させることができるのです。私共は今後、このLC-MS/MSを用いて、水道水の農薬類や環境ホルモン等の信頼性の高い微量分析法を検討していく予定です。

(環境水質課 宮野)


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