大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第5号− 2004年01月30日発行


不特定多数利用施設での結核感染と遺伝子型別

 同じ日本人でもそれぞれ身体的特徴や性格が異なるように、結核菌も遺伝子レベルでみるとそれぞれ個性があります。菌株の遺伝子レベルでの個性を見分ける方法を遺伝子型別法と呼びます。当所では、ある特殊な塩基配列が染色体上のどこにいくつあるかによって結核菌を遺伝子型別するIS6110-RFLP法を実施し、結核集団発生の感染源調査に利用しています。IS6110-RFLP法は世界中で広く実施されている遺伝子型別法で、すべての患者さんの結核菌を調べ、感染ルートを追跡している国や地方もあります。

 IS6110-RFLP法を用いると、結核患者さんが集団発生したときに、それが一人の感染源からの集団感染か、あるいはたまたま患者さんが同時多発したのかを調べることができます。また、結核患者さんが発見されたときに同じ遺伝子型の結核菌が周囲から発生していないか調査することにより、隠れた集団感染を発見することができます。このような遺伝子型別法の利用によって、従来は発見されにくかった飲食店・サウナ施設など不特定多数の人が利用する施設での結核集団感染を見つけられています。換気が不十分で密閉された場所は結核感染の危険性が高く、実際に飲食店、パチンコ店・雀荘などの遊戯施設、飛行機・バスなど交通機関内での集団発生が起こっています。アルコール多量摂取は結核発症リスクを高めるので、アルコール飲料を提供する飲食店での集団感染が国内外で多数報告されています。他にも宗教団体施設、趣味のクラブ、など様々の場所・集団での集団感染が発見されています。

 結核を発症しても痰の中に菌が出ないうちは人に感染させることはありませんが、最近は結核と診断されたときには症状が進んで菌を排出している患者さんの割合が多く、感染の機会が増えています。結核感染の危険性はどこにでもある、といえる状況です。しかし、遺伝子型別により隠れた集団感染が起こっていないかモニターし、的確な接触者検診を行えば、感染者の予防内服による発症予防や発症者の早期発見により、感染拡大を防ぐことができます。

(細菌課 田丸)


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