大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン かわら版@iph

 −第9号− 2004年04月531日発行


抗菌加工繊維製品中のヒノキチオールの分析法と光分解による抗菌効果の増強について!

 最近の清潔志向に伴って、抗菌加工した製品が増えてきています。ヒノキチオールやヒバ油は安全な天然抗菌剤として抗菌加工繊維製品への使用が急増しています。ヒノキチオールというのは、ヒバ油(ヒバから抽出した精油)中の抗菌性を有する1成分で、歯磨き剤や化粧品へ使用されてきました。また、食品保存料としても許可されています。しかし、ヒノキチオールが原因でアレルギーになったという報告もあり、必ずしも安全だと確認された訳ではありません。そこで、市販製品中にはヒノキチオールがどのくらいの濃度で使用されているのかを調査するために、全波長での確認・定量ができるフォトダイオードアレイ検出器を用いた高速液体クロマトグラフィー法による高感度な分析法を新たに開発しました。この分析法では試料1グラム中の百万分の1グラムのヒノキチオールも分析できます。ヒバ油又はヒノキチオール加工と表示のある市販繊維製品を分析しましたが、すべての製品からヒノキチオールが検出されませんでした。

 その原因を明らかにするため、ヒノキチオールを充填したマイクロカプセルを付着させた標準加工布を作製し、光を照射して、布中のヒノキチオール残存量の経時変化を観察しました。その結果、ヒノキチオールは速やかに消失し、その主原因は光分解である事を明らかにしました。つまり、市販製品からヒノキチオールが検出できなかった事を裏付ける実験結果でした。

 さらに、黄色ブドウ球菌と肺炎かん菌の2種類の試験菌を用いて、照射布の抗菌力評価を行いました。その結果、光照射した布は、黄色ブドウ球菌に対して、未照射布より強い抗菌活性を示しました。つまり、ヒノキチオールの光分解産物はより強い抗菌活性を発現するという、新知見が得られました。ヒノキチオールによる抗菌力やヒトへの影響を、光分解産物も含めて詳細に調べ、安全性評価を行うことが、今後の課題です。 

(生活衛生課 中島 晴信、 大阪府立産業技術総合研究所との共同研究)


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