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地方衛生研究所における業務体制実態調査 -その2-

前号に続き、実態調査結果の後半をお届けします

調査結果

● 研修指導

平成13〜15年度に開催した研修指導の1地研当たりの平均件数は、全地研で46.5件、都道府県で57.7件、指定都市で57.5件、中核市等で5.4件で、対象機関は保健所等、民間、大学、地研、JICAの順でした。その分野は、感染症分野、食品衛生の微生物分野、食品衛生の理化学分野、水質分野、住居衛生分野、医薬品分野の順でした。
 平成13〜15年度に地研職員が受講した1週間未満研修の1地研当たりの平均件数は全地研で35.0件、都道府県で37.4件、指定都市で35.5件、中核市等で27.6件、また1週間以上研修は、それぞれ、3.2、3.3、3.7、2.6件でした。その分野は、感染症分野、食品衛生の理化学分野、食品衛生の微生物分野の順でした。

● 公衆衛生情報の収集・解析・提供

感染症情報センターを地研内に設置しているところは、全地研で45地研(60%)、都道府県で37地研(79%)、指定都市で7地研(58%)、中核市等で1地研(6%)でした。
 情報部門の専門の担当者を配置している地研は全体で43地研(57%)、都道府県35地研(74%)、指定都市7地研(58%)、中核市等1地研(6%)でした。
 インターネット端末の普及状況は、全地研では一人当り平均0.86台でした。
 広報誌を発行している地研は全体で35地研(48%)あり、都道府県で26地研(55%)、指定都市で6地研(50%)、中核市等で3地研(19%)でした。ホームページを開設している地研は全体で66地研(88%)でした。

● 危機管理(表1)

過去3年間の所内危機管理対策会議の開催回数は、地研全体平均では1.4回でした。危機管理シミュレーションの平均実施回数は0.8回でした。 
 危機発生時に地研から現場へ出張が有りと答えた地研は、地研全体で36%で、都道府県で多く、中核市等では少ない傾向でした。

表1 健康危機管理対策及び発生時の対応について
表1

● 本庁との関係

地域保健法の基本指針でいう検討協議会又は類似会議の設置は地研全体で25%あり、外部有識者の参加は3割程度でした。

● 保健所等との関係

管轄内の保健所数については、地研全体で平均6.8カ所ありますが、その内、衛生関係の検査を行う保健所は、平均3.6カ所でした。管轄内の保健センター数については、指定都市で5.3カ所、中核市等で3.4カ所でした。
 地研の検査結果によって行政処分が行われる自治体は、地研全体でみると92%で、保健所等での検査結果によって処分が行われる割合(56%)に比べかなり高い割合でした。必ず地研で確認検査するという割合は4%でした。
 保健所との検査の分担については、保健所で検査可能な検査は保健所で実施し、それ以外のウイルス検査・遺伝子解析及び確認検査等は地研で実施するという、役割分担をしている地研は、全体で59%あり、都道府県(74%)、指定都市(42%)、中核市等(25%)の順でした。
 食品検査の信頼性部門の組織を地研内に確保している自治体は全体の40%で、その責任者を地研内においている自治体は39%でした。  地研と保健所等で共同調査研究を行っている自治体は、地研全体でみると53%ありました。

● 国立試験研究機関との連携

平成13〜15年度の国立試験研究機関との共同研究の状況は、研究分野別にみると、感染症分野が最も多く、次いで食品衛生の微生物分野、食品衛生の理化学分野の順でした。その相手先は、国立感染症研究所(56%)と国立医薬品食品衛生研究所(49%)がほとんどでした。

● 地研間の連携

都道府県と市・区間の定期的な意見交換会は、地研全体でみると約51%で開催されていました。感染症発生動向調査企画評価委員会の都道府県と市・区の共同開催は、数カ所のみでした。
 他地研との共同研究は、地研全体で71%あり、感染症分野、食品衛生の微生物分野、食品衛生の理化学分野での研究が中心でした。また、他地研との技術情報の交換や技術研修の受講が多く行われ、次いで技術研修の提供が行われていました。危機発生時の地研連携は、緊急的な問い合わせや危機対応のための情報提供、菌株・検査試薬・標準物質の提供または授受、および技術情報の交換が比較的積極的に行われていました。

● 地研が抱える問題点

地方衛生研究所が抱える問題点としては、「全体に予算不足」を59%の地研が挙げ、次いで「先端的機器類が不足」52%、「人員不足」52%、「施設が狭く老朽化」49%、「研究予算が少ない」48%の順でした。その解決方法としては、地研の内部努力に留まらず、本庁及び保健所の理解と協力の必要性、国等からの補助金の交付や技術支援等が挙げられていました。

● 関係機関等への要望等

保健所への要望等は、「共同した地域特有の問題の発掘と調査」65%、「定期的な会議等で連携」48%、「試験検査に関する検討の場」36%の順でした。
 自治体に対する要望等は、「研究所の予算への配慮」88%、「研究所業務を理解し技術力を活かすような支援」77%、「人員増」60%の順でした。  国立試験研究機関に対する要望等は、「標準株、標準物質等の供給」85%、「研修の充実」68%、「情報の積極的な提供」64%の順でした。
 厚生労働省に対する要望等は、「地研の法律的な位置づけ」88%、「設備機器への補助」88%、「技術向上の支援」79%の順でした。

薬師寺 積、織田 肇
ロゴマーク 公衛研ニュース第30号(2) 編集:公衛研ニュース編集委員会