HOMEページ公衛研ニュース > インフルエンザとは?

インフルエンザとは?

毎年寒くなってくると話題になるインフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって起こる急性の呼吸器疾患です。毎冬、インフルエンザは流行の規模に大小はありますが、人口の約10%前後が感染する我が国最大の感染症です。

1.インフルエンザの症状と流行期

 典型的なヒトのインフルエンザは、のど、鼻だけに症状の出る「はなかぜ」とは異なり、38℃以上の発熱、関節痛、だるさなど、全身の症状も強い疾患です。ほとんどの人は自然に治りますが、特にハイリスクグループといわれるインフルエンザで重症化する人たち、すなわち、65歳以上の高齢者、乳幼児や、年齢を問わず心臓疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、糖尿病などの基礎疾患がある人たちにとっては、インフルエンザは死亡することもある恐ろしい病気であり、注意が必要です。
 インフルエンザは、大阪では例年ですと12 月下旬から患者さんが増え始め、翌年1月下旬から2月の始めにかけて流行のピークを迎える疾患です(図1)。ところが、今冬は、例年より速いペースでウイルスが分離されています。特に北海道、東北、首都圏を中心に患者数が増加しています。大阪府でもインフルエンザによると考えられる学級閉鎖が11 月に入ってから数件発生していますし、患者数も増加傾向にあります。

図1図1 大阪府のインフルエンザ定点あたり患者数

2.原因となるインフルエンザウイルスは?

 ヒトで流行を起こすインフルエンザウイルスは、抗原性の違いからA 型とB 型、および大きな流行を起こさないと考えられているC 型の3種に分けられます。A 型はさらにウイルス表面の2種類の糖タンパク質であるヘマグルチニン(HA)とノイラミニ ダーゼ(NA)の抗原性の違いから144 種類の組み合わせ(これを亜型と言います*1)に分けられます。現在ヒト社会で流行が見られるのは、B 型と、A ソ連型(H1N1亜型)、A 香港型(H3N2亜型)ですが、今冬の流行で分離されている株は、今のところほとんどがAソ連型です。

3.インフルエンザにかからないためには

 インフルエンザは予防が大切で、インフルエンザワクチンを受けるのが効果的です。特にハイリスクグループがワクチンを受けるのは重要ですが、これらの人が家族にいる場合、他の家族がワクチンを受けて予防し、インフルエンザを家庭に持ち込まないのも有効な対策です。また、高齢者施設などでは入所者よりも介護職員等にワクチン接種した方が感染拡大阻止に有効であるという報告もあります。これもやはりインフルエンザを施設内に持ち込まないという考え方です。いずれにしても、ワクチンを接種してから充分に抗体ができあがるまで2週間程度の時間が必要です。ワクチン接種によって得られる免疫は、およそ5ヶ月間持続しますので、流行に入る前にワクチンを受けておきましょう。なお、現在のインフルエンザのワクチンにはAソ連型、A香港型、B型の3種の成分が含まれており、いずれの型にも効果があります。当然のことですが、重症急性呼吸器症候群(SARS)や鳥インフルエンザ、インフルエンザウイルス以外のウイルスによる一般的なかぜには効果はありません。
 インフルエンザウイルスは、患者さんの咳、くしゃみとともに空中に放出され、他の人に吸い込まれることで感染します。ワクチン以外の一般的な予防方法として、うがい、手洗い、マスクなどは有効ですので普段から習慣付けましょう。

4.インフルエンザにかかってしまったら

 インフルエンザにかかってしまった場合、現在は医療機関を受診すれば、のどや鼻をぬぐってインフルエンザかどうかを調べる検査を受けることができます。かぜの症状とは違って重症だなと感じたら、早めに診断を受け治療することは、自身にとっても重要ですし、周囲の人にインフルエンザを感染させないためにも有効です。
 インフルエンザと診断された場合、特異的な治療薬がありますが、ご存じのように因果関係は明らかではないものの、服用後の異常行動や転落事故が問題となっています。厚生労働省は2007 年3 月にリン酸オセルタミビル(タミフル)に関しては10 代の患者では原則投与禁止、10歳未満の患者では投与後2日間は患者を一人にしないように指導しています。ただしタミフルの服用がなくとも異常行動を起こした例も報告されているため、インフルエンザと診断された場合は薬の服用の如何に関わらず患者をできるだけ一人にしないで見守ることが必要かもしれません。治療に関しては医師と充分に相談の上で選択することが大切です。

*1 A 型インフルエンザの亜型

現在、ヘマグルチニンはHA1〜HA16の16種類、ノイラミニダーゼはNA1〜NA9の9種類が見つかっており、A型インフルエンザは、これらの組み合わせにより144種類の亜型に分類されます。

感染症部ウイルス課 森川 佐依子