HOMEページ公衛研ニュース > 2012年の大阪府の風疹流行状況

1.2012年の大阪府内での風疹の流行

風疹は2008年から麻疹とともに全数把握疾患となり、患者数がほぼ正確に把握できるようになりました。2008〜10年の大阪府内の風疹報告数は10〜22例で推移していましたが、2011年に確認された風疹症例は67例と大きく増加しました。しかし、本年は昨年よりもさらに大きな風疹の流行が見られており、34週までに276名の患者が報告され、現在も報告が相次いでいます。散発的な患者発生は2012年の1週目から報告されており、7〜13週には小さなピークが見られました。その後、16週以降患者数は増加傾向を示しており、32週では26名とこれまでで最も多くなっています(図1)。

患者の性別は男性206例(74.6%)、女性70例(25.4%)で、患者年齢の中央値は男性31歳(範囲0〜76歳)、女性23歳(範囲1〜62歳)でした。患者数は20歳代が最も多く(35.9%)、次いで30歳代(31.5%)、40歳代(14.1%)の順で(図2)、いずれの年齢層でも男性患者が多くみられました。特に、30〜40歳代の男性患者が多数発生しているのは、30歳以上の男性に風疹のワクチン接種歴がない人が多いためだと考えられています。これは1977年の風疹ワクチン定期接種開始当初は対象が中学生女子に限られていたこと、風疹ワクチン接種制度の変更に伴う経過措置の周知が不十分だったことが影響していると思われます。この年代の男性は配偶者が妊娠可能年齢であることも多い世代です。先天性風疹症候群の発生予防のためにも、ワクチン接種歴のない方はワクチン接種されるようお勧めします

図1風疹患者報告数の推移

図1 風疹患者報告数の推移

図2 風疹患者の年齢分布

図2 風疹患者の年齢分布

2.風疹の診断と検査

34週までに報告された276例のうち臨床診断によって報告された事例は55例(19.9%)、検査診断によって確定された事例は221例(80.1%)でした。検査診断ではIgM抗体の検出が最も多く146例(66.1%)、PCRによる遺伝子検出またはPCRと血清診断(IgMおよびHI)の併用4例(1.8%)、ペア血清による抗体上昇(EIA,HI)は26例(9.4%)でした。風疹は臨床症状がはっきりしない場合も多いために診断が難しい疾病ですが、医療機関でのIgM検査が周知されたことで、より正確な診断がされるようになってきたと考えられます。

【公衆衛生研究所での風疹検査】
 当所では、麻疹疑い症例として搬入された臨床検体について、類症鑑別のために風疹および伝染性紅斑(パルボウイルスB19感染症)についても検査を行っています。2012年1〜34週までに54症例を検査し、19症例で風疹、1症例でパルボウイルスを検出しています。検出された風疹ウイルスの遺伝子型は、昨年大阪府内および全国的にも多く見られた2B型が主にみられており、引き続き同じ遺伝子型のウイルスが流行していると考えられます。

3.今後の取り組み

麻疹に対しては、2012年の国内からの排除を目標に、国や地方自治体、教育現場が連携した取り組みがなされていますが、風疹については、まだよく認識されていません。地方自治体や教育現場が協力して、ワクチン接種率を上げていく必要があります。

当所では、これまでに行ってきた風疹ウイルスの遺伝子型の解析や他のウイルス性の発疹性疾患との類症鑑別を継続して行い、府内の流行状況の把握に努めることで、今後も風疹の予防と啓発を行っていきます。

感染症部ウイルス課 倉田 貴子

 先天性風疹症候群

先天性風疹症候群風疹に免疫をもたない女性が妊娠初期に風疹ウイルスに感染し、感染が胎児に及んだ場合、出生児に先天性の障害が引き起こされることがあります。先天性心疾患、難聴、白内障を三大症状とし、その他、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞など様々な症状がみられます。

先天性風疹症候群をもった出生児がこれらすべての障害を持つとは限らず、障害のうちの1〜2つのみを持つ場合もあるために、気づかれるまでに時間がかかることもあります。