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1.下水道と浄化槽

使ったあとの汚れた水は、どこで処理されているのでしょうか。家庭用水を例にとると、トイレ排水(家庭用水の約28% 以下、“し尿”と記す)とそれ以外の生活雑排水(風呂:約24%、炊事:約23%、洗濯:約16% など)に分けることができ、これらを処理するものとして、下水道と浄化槽があります。

下水道は大きく分けて、公共下水道と流域下水道の2つがあります。公共下水道は主として市街地における下水を排除又は処理するために、1つの市町村が管理するものです。一方、流域下水道は2つ以上の市町村の下水を排除し、終末処理場を有する都道府県が管理する下水道を指します。さらに、公共下水道は独自に終末処理場を有する単独公共下水道と、下水管で集水したあと流域下水道に接続する流域関連公共下水道の2つに分類されます。

浄化槽には2つの処理形態があり、し尿と生活雑排水を処理する合併処理浄化槽(現在は単に「浄化槽」という)と、し尿のみを処理し、生活雑排水はそのまま河川等に流す単独処理浄化槽(現在は「みなし浄化槽」といい平成13年4月以降は設置禁止)があります。感覚的にはし尿の方が汚いと思われがちですが、BOD(生物化学的酸素要求量)で表される汚濁物質は生活雑排水の方がし尿に比べはるかに多く、これを処理しなければ水環境の改善には繋がりません。

2.汚水衛生処理率

各市町村において、どの程度汚水が処理されているかを表すものとして、汚水衛生処理率というものがあります。これは下水道法上の下水道のほか、浄化槽等により、汚水を衛生的に処理している人口の割合を表したもので、次の式によって算出されます。

数式(汚水衛生処理率)

なお、現在水洗便所設置済人口とは、水洗便所を設置し実際に使用している人口であり、下水道等の整備済区域であっても下水道等には接続されていない人口、生活雑排水を処理しない単独処理浄化槽を設置している人口は除かれています。

大阪府内の各市町村の平成22年度末の汚水衛生処理率を図1に示しました。北大阪地域で高く、南大阪地区においてやや低い傾向にあります。下水道が整備されているにもかかわらず、下水管に接続されていない割合が10%を超えるのが府内43市町村中13もあり、なかでも河内長野市や田尻町、忠岡町、岬町では15%を超えています。下水道への未接続が、汚水衛生処理率を低くさせている要因にもなっています。ちなみに大阪府全体の汚水衛生処理率は92.9%で、全国で第4位です。

図1 大阪府の汚水衛生処理率(平成22年度末)

図1 大阪府の汚水衛生処理率(平成22年度末)

3.今後の整備に向けて

汚水衛生処理率を向上させるためには下水道の整備はもちろんですが、下水道の整備区域外や財政上の問題などにより整備の進捗が遅れている地域においては、浄化槽による整備が欠かせません。近年では個人設置型に加え、市町村の費用で地域一帯に浄化槽を設置し、保守点検や汚泥の清掃なども行う一方、住民からは水道使用量や使用人員に応じて使用料を徴収する市町村設置型浄化槽の整備が展開されてきています。府内ではこれまでに豊能町、枚方市、大東市、富田林市、河内長野市で実施されており、なかでも富田林市では佐備川流域において約460戸の家庭に合併処理浄化槽が設置されました。

そこで、昨年度府や市の関係機関と協力して、浄化槽整備後の佐備川や生活排水のみが流れる水路の水質調査を行いました。その結果、整備前の調査に比べ水路においては有機物濃度や糞便性大腸菌群数の著しい減少が観察されましたが、河川水質は流量が生活排水量に比べ極めて多いため、大きな変化は観察されませんでした。この「浄化槽市町村整備推進事業」は今年度高槻市で、来年度は茨木市と柏原市においても整備が進められる予定です。

今後も当所においては健康医療部環境衛生課や関係機関と連携して、生活排水100%処理を目標に浄化槽による整備や、設置された浄化槽の水質安定化に向けた維持管理指導、地域水環境への影響評価などに取り組んでいきます。

衛生化学部生活環境課 中野 仁