HOMEページ公衛研ニュース > 身近に迫る違法ドラッグの危険

1.違法ドラッグとは

麻薬や覚せい剤、大麻(以下、麻薬等)といった薬物は販売や使用を法律で規制されており、その危険性は一般的にも十分知られています。違法ドラッグは麻薬等と類似した化学構造の薬物を意図的に化学合成して製造されます(図1)。規制されている薬物等とは構造が少しだけ違うことから、合法ドラッグ・合法ハーブ等と称して販売されています。また、アロマリキッド、ハーブ、バスソルト等用途を偽装して販売されているケースも見受けられます。違法ドラッグを服用・吸引することにより、麻薬等を使った時と同じような意識障害、幻覚、興奮、錯乱等が生じます。しかし、麻薬等には該当しないことから、市中の店舗やインターネットで流通し、好奇心から安易に使用され、麻薬等への入門薬物(ゲートウエイドラッグ)となることが懸念されています。

図1 麻薬、指定薬物、指定薬物類似薬物の例

図1 麻薬、指定薬物、指定薬物類似薬物の例

違法ドラッグは、医薬品として開発されたものではなく、法の規制を逃れることを目的として製造されていることから、薬物としての安全性はほとんど考慮されておらず、麻薬よりも強力な作用を持つ物質もあると考えられています。違法ドラッグは2000年ごろから濫用されるようになり、これを迅速に取り締まるために、厚生労働省は2006年に薬事法を改正し、「指定薬物」という制度を導入して規制しています。

2.厚生労働省による規制強化査

指定薬物は麻薬等に類似した構造を持つものですが、指定薬物の規制から逃れるために指定薬物に類似した化合物が配合された製品も多数発見されています。現在までわが国では、実際に流通している違法ドラッグの成分や海外で流通実態のある成分を一つ一つ個別に、指定薬物として規制してきました。しかしながら[指定薬物類似薬物の流通・検出] → [指定薬物類似薬物の指定薬物への指定] → [(新規)指定薬物類似薬物の流通・検出] → [指定薬物類似薬物の指定薬物への指定]という、いわゆる『いたちごっこ』が続いています。そこで、厚生労働省は、指定薬物と化学構造が類似している化合物を、一括して規制対象とする『包括指定』を導入することとしました。このことにより、指定薬物類似薬物が実際に流通する前に規制対象とすることが可能となり、『いたちごっこ』に対して一定の効果が期待されています。

3.大阪府独自の取り組み

このような薬物の濫用による被害が深刻な状況を踏まえ、公衆衛生研究所では、違法ドラッグによる健康被害や事件の未然防止のため、大阪府健康医療部薬務課と協力して、2011年度より合法ドラッグ等として流通している製品の試買調査を行っています。今年度及び昨年度の試買調査においても、指定薬物を検出し、府のホームページ等を通じて製品名を公表し、注意喚起を行いました。また、大阪府では、2012年に「大阪府薬物の濫用の防止に関する条例」を制定しました。この条例は、薬物の濫用を防止し、必要な規制を行い、青少年をはじめとする府民の生命、身体等に対する危害の発生を防止するとともに、公の秩序又は善良な風俗を維持し、健全な社会の実現を図ることを目的としています。条例の特徴は、知事指定薬物制度により『知事が指定する薬物の (1)使用、(2)使用目的の所持、(3)情を知って使用場所の提供・あっせん』に罰則規定がついたことです。薬事法における指定薬物制度では使用に対する罰則はありませんでした。

4.まとめ

違法ドラッグの流通や違法ドラッグによる事件や事故は世界的な問題となっています。海外で検出された化合物は、わが国でも流通する可能性が高いことから、当課では指定薬物類似薬物の検出事例の情報収集に努めるとともに、製品中に存在する化合物を正確に分析するため、分析法の開発にも努めています。違法ドラッグによる健康被害や事件を未然に防止するため、迅速な分析法の確立等により、検査体制をより一層充実させたいと考えています。

大阪府立公衆衛生研究所 衛生化学部薬事指導課

※ 本文の内容は、2013年3月3日時点のものです。規制などに関する情報は最新のものをご確認ください。