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1.保健機能食品の制度(栄養機能食品と特定保健用食品)

保健機能食品には栄養機能食品と特定保健用食品の区分があります(表1)。栄養機能食品は栄養成分の補給や補完を目的とした食品で、5種類のミネラルと12種類のビタミンについて規格基準を満たせば、許可や届出なしに栄養素の機能表示ができます。

一方、特定保健用食品(通称、特保・トクホ)は健康の維持増進や保健の用途に資することを目的とした食品で、安全性や有効性について科学的根拠を示して個別審査を受けて許可されると「血圧が高めの方に適する」、「食後の血糖値の上昇を緩やかにする」などの保健用途表示ができます(図1)。

このように保健機能食品(栄養機能食品と特定保健用食品)では、いわゆる健康食品を含む一般食品には認められていない機能表示が認められていますが、同時に使用に当っての注意喚起や摂取目安量の表示も義務付けられており、利用者はこの点を良く理解したうえで適切に利用する必要があります(表2、表3)。

表1 保健機能食品の区分と表示内容

医薬品  保険機能食品 保険機能食品 食 品
(いわゆる健康食品を含む) 
特定保健用食品(個別許可) 栄養機能食品(規格基準・審査不要)
薬効成分の含有量 関与成分の含有量(栄養成分の含有量) 機能表示する栄養成分の含有量(栄養成分の含有量) 栄養成分の含有量
効能・効果の表示 保健用途の表示 栄養成分の機能表示
 (規定の表現)
使用上の注意 注意喚起 注意喚起(規定の表現)
用法・用量 一日摂取目安量 一日摂取目安量

表2 栄養機能食品の栄養成分の機能表示の例

栄養機能表示 注意喚起表示
カルシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です。 本品は多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。
鉄は赤血球を作るのに必要な栄養素です。
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。 同上,妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないよう注意してください。
葉酸は胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。 本品は胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育が良くなるものではありません。

表3 特定保健用食品の保健用途の表示例

  注意喚起表示
本品は、血圧が高めの方に適した食品です。 本品は高血圧症の予防薬及び治療薬ではありません。高血圧症の治療を受けている方、妊娠中又は妊娠している可能性のある方、及び腎機能が低下している方は医師とご相談の上、飲用してください。
この油は、中鎖脂肪酸を含み、体に脂肪がつきにくいのが特徴です。体脂肪が気になる方や肥満気味の方は、通常の油に替えて、この油をお使いいただくことをおすすめします。 多量に摂取することにより、疾病が治癒するものではありません。
本品は食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収をおだやかにするので、血糖値が気になる方の食生活の改善に役立ちます。 多量に摂取することにより、疾病が治癒するものではありません。なお、糖尿病の治療を受けている方や糖尿病の疑いのある方は、医師などの専門家にご相談のうえご飲用ください。体質・体調により、食物繊維による一過性の膨満感をおぼえることがあります。

2.保健機能食品を利用するにあたって注意すべきこと

いわゆる健康食品を含めて「これさえ摂れば健康になれる」というようなものはありません。健康の基本は、適度な運動とバランスのとれた食事であり、保健機能食品はそれを補完するためのものです。栄養機能食品は普段の食事では不足しがちな栄養成分を補う目的で、特定保健用食品はバランスの良い食事を摂りつつ、健康上気になる点に応じて通常の食品と置き換えるのが良いでしょう。例えば、体脂肪が気になる方は、油の使用量を控えた上で、さらに普通の油を特保の油に切替えるのが有効です。保健機能食品は乱れた食生活の免罪符ではありません。

また保健機能食品は、栄養成分の機能や保健用途が表示されており、一定の効果を期待して良い食品ですが、たくさん摂れば良いというわけではありません。過剰摂取は逆に健康を損なうおそれがあり、摂取目安量を守ることが重要です。他の保健機能食品や健康食品との併用も避けた方が良いでしょう。それぞれの摂取目安量を守っていても同じ関与成分を含む製品をいくつも摂れば、結果として過剰摂取になります。また異なる関与成分でも作用機序が同じであれば効果が重なって過剰摂取と同じ結果を招くかもしれません。

保健機能食品は未病の方を対象とした健康の維持増進のための食品であり、病気を治す薬の代わりにはなりません。薬と同等の効果を期待して、保健機能食品だけに頼ると治療の機会を逸し、取り返しのつかない事態を招くかもしれません。病気の治療中の方や病気の疑いがある方は、医師や薬剤師など専門家と相談しながら、保健機能食品を利用してください。

繰り返しになりますが、健康の基本は、適度な運動とバランスのとれた食事であり、保健機能食品はそれを補完するためのものなのです。

大阪市立環境科学研究所 食品保健グループ 萩原 拓幸