HOMEページ公衛研ニュース > マダニが媒介する感染症について

ダニは昆虫ではなくクモの仲間。
  マダニ以外の身近なダニ
  [家の中にいるダニ]
  ・チリダニ( ヒョウヒダニ)、ツメダニ:寝具類等にいて、アレルギーを起こしたり、刺されて痒みを起こす。
  ・コナダニ:乾物や菓子類などの乾燥食品類に発生。
  [体に寄生するダニ]
  ・カイセンダニ:皮下の角質層に寄生。
  ・ニキビダニ:皮膚のニキビの中にいることがある。
  [ネズミ類の巣にいるダニ]
  ・イエダニ:ネズミ類につく。ヒトを刺して痒みを起こす。
  [鳥の巣にいるダニ]
  ・トリサシダニ、ワクモ:鳥の巣で繁殖し、ヒトを刺して痒みを起こす。
  [植物にいるダニ]
  ・ハダニ:観葉植物等の葉を吸汁して植物を傷める。



1.SFTS の症状

SFTSになると、高熱(38度以上)、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状が現れ、血小板や白血球が減少します。その他にも、頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節の腫れ、紫斑などの症状が報告されています。出血症状などにより重症化すると死亡することがあり、これまでに確認された25名のうち11名の方が亡くなられています(平成25年6月28日現在)。

2.SFTS の媒介者

SFTSウイルスはマダニと呼ばれる大型のダニ(成虫はおよそ3mm以上あり、肉眼で見える)によって媒介されると考えられています。中国での報告では、フタトゲチマダニ(図2)やオウシマダニからSFTSウイルスが分離されています。これらのマダニはわが国の野山や草地にもごく普通に分布している種類です。また、わが国では山口県で発生した患者に付いていたタカサゴキララマダニ(図3)がウイルスを持っていた可能性が示唆されています。

図2 フタトゲチマダニ図2 フタトゲチマダニ
図3 タカサゴキララマダニ図3 タカサゴキララマダニ

3.その他のマダニ媒介性感染症

わが国にはマダニが媒介する感染症として、その他に日本紅斑熱やライム病、ロシア春夏脳炎などがあります。日本紅斑熱は日本紅斑熱リケッチアという小型の細菌が感染して起こる疾患で、ライム病はライム病スピロヘータという細菌が、またロシア春夏脳炎ではロシア春夏脳炎ウイルスがそれぞれ原因となります。日本紅斑熱は毎年多くの患者が発生しており、2012年は170名の患者が報告されています。SFTSを含めこれらの感染症を防ぐためには、何よりもマダニに咬まれないようにすることが大切です。野山に出かけるときは「マダニ」のことを頭の片隅にとどめておき、以下に示した注意を参考にしてください。



   野山へ出かけるときの注意

・野山へ出かけるときは、できるだけ長袖・長ズボン・スパッツ・しっかりした靴(できれば長靴)等を着用し、できるだけ肌の露出を避ける。服装は生地がツルツル系のもの(レインウェアやウインドブレーカー)にする。また、白っぽい色の方が、ダニがついたときに発見しやすい。また、虫よけスプレーを携行し、必要に応じて使用する。

・山道などからそれたり、草深いけもの道などに入って草木に直接触れないようにする。また、直接地面に寝転んだりしない。

・野山へ出かけた日は、帰宅後必ず入浴し、マダニのようなものがついていないか点検する。血を吸って大きくなった場合は「できもの」と間違えられることがある。もしマダニがついていたら自分でとらずに皮膚科を受診する(無理に引っ張るとダニの口がそのまま残ってしまう)。

・野山へ出かけてから一週間くらいたって、急に高熱がでたり、体中に発疹(赤いブツブツ)が出てきた場合は、医療機関を受診し、野山にでかけたことを詳しく申告する。



感染症部ウイルス課 弓指孝博