HOMEページ公衛研ニュース > 大阪府内で流通する食品の食中毒菌汚染実態調査
カンピロバクターの電子顕微鏡写真カンピロバクターの電子顕微鏡写真
サルモネラ属菌の電子顕微鏡写真サルモネラ属菌の電子顕微鏡写真

カンピロバクター

肉・卵類を中心に、平成21年度に525検体、平成22年度に584検体、平成23年度に556検体、平成24年度に457検体を検査しました。すべての年度で年間を通じて肉・卵類及びその加工品から分離され、その陽性率は平成21年度で21.9%、平成22年度で27.0%、平成23年度で20.3%、平成24年度で15.5%となり、陽性検体の大部分が加熱用鶏肉でした(表1)。


サルモネラ属菌

肉・卵類ならびに野菜類・果物を中心に、平成21年度に794検体、平成22年度に795検体、平成23年度に791検体、平成24年度に675検体を検査しました。カンピロバクターと同様にすべての年度で肉・卵類及びその加工品から分離され、その陽性率は平成21年度が18.0%、平成22年度が26.9%、平成23年度が23.2%、平成24年度が24.8%で、陽性検体の大部分は加熱用鶏肉でした (表1)。


腸管出血性大腸菌O26及びO157

肉・卵類ならびに野菜類・果物を中心に、平成21年度に673検体、平成22年度に685検体、平成23年度に661検体、平成24年度に581検体を検査しました。平成21年度の調査では、腸管出血性大腸菌O26はすべての検体で陰性でしたが、O157(VT1、VT2陽性)が牛ステーキ肉1検体で陽性でした。平成22年度から24年度はすべての検体でO26及びO157は陰性でした(表1)。


腸炎ビブリオ

魚介類及びその加工品について、平成21年度は224検体、平成22年度は223検体、平成23年度は239検体、平成24年度は278検体を検査しました。陽性率は平成21年度で9.4%、平成22年度で4.5%、平成23年度で5.9%、平成24年度で5.0%でした(表1)。なお、陽性となった検体はすべて加熱調理用生鮮魚介類でした。


平成21年度から平成24年度に実施された厚生労働省による調査は、E. coli、カンピロバクター、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌O26、O111及びO157を対象として実施されました2)。これによると、カンピロバクター及びサルモネラ属菌については、鶏肉の汚染度が突出して高く、鶏ミンチ肉のカンピロバクター陽性率は概ね35%、サルモネラ属菌の陽性率は概ね50%と報告されています。また、腸管出血性大腸菌O26、O111及びO157は、牛肉あるいは牛レバーの1%程度から検出されています。この調査は、毎年度、全国の中央卸売市場等を管轄する約20自治体が参加しており、全国規模の実態調査となっています。そのため、鶏肉の高率なカンピロバクター及びサルモネラ属菌汚染あるいは牛肉及び牛内臓肉の腸管出血性大腸菌汚染は、全国的な傾向であると考えられます。


カンピロバクターとサルモネラ属菌及び腸管出血性大腸菌は、主として鶏及び牛を含む反芻動物の腸管内常在菌であり、また、腸炎ビブリオは海水中に広く常在する細菌です。そのため、食中毒対策としては、食品加工過程において、腸内容物や海水の食品汚染を避けることが重要となるため、食鳥処理場、と畜場、水産食品加工場では様々な努力がなされています。しかし、残念ながら、現時点でこのような汚染を完全に防ぐことは困難となっています。そこで、食中毒の防止のためには、今回の調査結果で示したように流通する食肉や魚介類が一定の割合で食中毒菌に汚染されていることを常に認識し、食中毒予防の三大原則(食中毒菌をつけない・増やさない・やっつける)を徹底していくことが重要です。



表1. 各製品における食中毒菌の検査結果(平成21〜24年度)
表1. 各製品における食中毒菌の検査結果(平成21〜24年度)

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参考文献

1) 鈴木穂高、山本茂貴(2011)日本とヨーロッパ各国の食品の食中毒菌汚染実態の比較-「食品の食中毒菌汚染実態調査」の結果の有効活用、国立医薬品食品衛生研究所報告、第129号、P118-128

2) 食品中の食中毒菌汚染実態調査の結果、厚生労働省ホームページ  http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/01.html



感染症部細菌課 原田哲也