HOMEページ公衛研ニュース > 医薬品成分が配合された健康食品にご注意

国民の健康に対する意識の高まりに加え、インターネット等による通信販売の普及が進んだことで、健康食品の市場は拡大の一途をたどっています。健康産業新聞によると、日本国内の市場は2012年に1兆1850億円と推計されています1)。海外の報告では、2014年から2020年までの世界の健康食品市場の成長率は7.4%、日本を含むアジア太平洋地域では9.1%に達すると予測されています2)。このように、健康食品は消費者にとって身近な存在となりつつあります。
 健康食品が広く流通する一方、これらの作用を高める目的で医薬品成分を違法に配合した製品が一部流通しています。独立行政法人国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(https://hfnet.nih.go.jp/)によると、国内外で強壮効果・痩身効果を標榜する健康食品を中心に医薬品成分が検出されています。医薬品成分が配合された健康食品は無承認無許可医薬品に該当し、医薬品医療機器等法による取締りの対象となります。このような健康食品では、その標榜効果を消費者に実感させるため、薬用量に匹敵する量の医薬品成分を含有することがあります。また、普段服用している薬との相互作用により、治療中の疾病が悪化する可能性があります。
 強壮を目的とする健康食品の中にはシルデナフィルやバルデナフィル、タダラフィルといった*ED治療薬が配合されたものがあります。シルデナフィルはバイアグラ錠、バルデナフィルはレビトラ錠、タダラフィルはシアリス錠として日本国内で承認されている医薬品成分ですが、健康食品への配合は違法です。これらの成分は、狭心症や高血圧の薬と併用することで血圧降下作用が増強され、重篤な症状となるおそれがあります。また、違法配合の発見を免れるために上記成分の化学構造を一部変化させた類似成分も検出されています(図1)。当研究所のこれまでの検査ではホモシルデナフィル、ヒドロキシホモシルデナフィル、ヒドロキシチオホモシルデナフィル、メチソシルデナフィル、プソイドバルデナフィル、アミノタダラフィル、クロロプレタダラフィル、チオデナフィル、ホモチオデナフィル、チオアイルデナフィル、カルボデナフィル、ムタプロデナフィルが健康食品から検出されました。これらの成分は上記成分と類似の作用を有することが考えられ、健康被害が発生するおそれがあります3)


図1. ED治療薬(3種)とそれらの類似成分

痩身を目的とする健康食品の中には、フェンフルラミンやシブトラミンが配合されたものがあります。これらは共に食欲を抑制する成分ですが、日本では医薬品として未承認です。特に、シブトラミンは頻繁に健康食品から検出され、海外では重篤な健康被害が報告されています。また、フェンフルラミンやシブトラミンの構造類似体も健康食品から検出されています(図2)。N−ニトロソフェンフルラミンは2002年に発生した中国製の健康食品による肝障害の原因物質とされています4)。脱N−メチルシブトラミン及び脱N−ジメチルシブトラミンはシブトラミンの類似成分で、シブトラミンと同様の作用を有すると考えられています3)
 上記の成分以外にフェノールフタレイン3)やヨヒンビン5)等も検出されています。フェノールフタレインは過去に下剤として承認されていましたが、発がん性が明らかになり使用不可となっています。ヨヒンビンは強壮効果を標榜する健康食品に配合されることが多い成分ですが、近年は痩身を目的とする健康食品からも検出されています。
 大阪府では府民の健康被害防止のため健康食品の試買調査を実施しており、当所が健康食品中に配合された医薬品成分の分析を担当しています。また、原因物質を迅速かつ的確に見つけるため、分析法の開発・研究も行っています。近年さまざまな健康食品が流通していますが、健康食品を摂取して体調不良を感じた方は、摂取をやめ、速やかに医療機関を受診して下さい。

*ED治療薬:勃起不全を治療する薬です。ニトログリセリンなどの血管拡張薬と共に用いると、降圧作用が増強し過度に血圧を低下させるおそれがあります。


図2. 食欲抑制剤(2種)とそれらの類似成分



参考資料
1) 内閣府、「生活者起点での健康食品・サプリメント市場実態」
(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg/kenko/130419/item2-2_4.pdf#page=1)
2) Persistence Market Research, Global market study on dietary supplements: Botanical supplements to be the largest market by 2020 (http://www.persistencemarketresearch.com/market-research/dietary-supplements-market.asp)
3) 厚生労働省、無承認無許可医薬品情報 (http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/musyounin.html)
4) 厚生労働省、N−ニトロソ−フェンフルラミンの検出等について (http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0722-3.html)
5) 厚生労働省、医薬品成分を含有するいわゆる健康食品の発見について (http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073598.html)


衛生化学部薬事指導課 中村暁彦