title3原虫症とは - その分類と感染様式 -

成11年4月1日「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行されました。いわゆる感染症新法です。この新法では、従来のように感染症を法定伝染病、届け出伝染病といった区別ではなく、73種類の感染症を、疾患の重症度や危険度に応じて一類から四類までに分類しています(公衞研ニュース第7号参照)。このうちの四類感染症には、インフルエンザ等の61疾患が指定されており、アメーバ赤痢(赤痢アメーバ症)、クリプトスポリジウム症、ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)、マラリア症及びエキノコックス症の5種類の寄生虫症もこれに含まれています。このうち前4症を原虫症、エキノコックス症を蠕虫症と呼びます。

 原虫症とは単細胞の真核生物である原虫により、また蠕虫症とは回虫症や、条虫症(サナダムシ)の様な多細胞生物により引き起こされる寄生虫症のことです。

1.原虫症を分類すると

 人体に寄生する原虫類を形態学的に分類すると、

・ 根足虫類:赤痢アメーバ等

・ 鞭毛虫類:トリパノソーマ、リーシュマニア、ランブル鞭毛虫、膣トリコモナス等

・ 胞子虫類:マラリア、トキソプラズマ、クリプトスポリジウム等

・ 繊毛虫類:大腸バランチジウム

の4種類になります。また、形態学的分類とは別に人への寄生部位で見れば、以下の4種類に分類されます。

・ 腸管寄生原虫:赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム等

・ 血液・組織寄生原虫:マラリア、トキソプラズマ、トリパノソーマ、リーシュマニア等

・ 泌尿器寄生原虫:膣トリコモナス

・ 元来は自由生活のアメーバが角膜や脳に寄生するアカントアメーバやネグレリアフォーレイ

2.原虫と感染様式

 原虫の生活史は様々ですが、人への感染に昆虫やダニ等のVector(媒介者)を必要とするものと、必要としないものがあります。原虫で汚染された水や食品を介して直接感染するものとしては、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、クリプトスポリジウム、トキソプラズマが挙げられます。媒介者を通じて感染する代表的な原虫はマラリア、トリパノソーマ、リーシュマニアです。表4に代表的な原虫の分類とその寄生部位、感染様式、症状を示しました。

 原虫症は、アフリカや東南アジアの発展途上国を中心に感染率及び死亡率が高い感染症です。また、先進国においても、水系感染の原虫症としてジアルジア症、クリプトスポリジウム症が注目を集めています。当研究所では、これの原虫症のうち特に腸管寄生原虫に関する調査研究を進めています。

ウイルス課 木村 明生