平成7年度『勤労者の生活活性度評価事業』報告書概要(その1)




I] 健康度評価指標の開発


1. 免疫機能検査による健康度評価
 中高年勤労者を対象にPHAによるリンパ球幼若化反応、細胞性免疫を制御するサイトカインの産生量の測定および健康に関わる諸因子の聞き取り調査を実施した。また聞き取り項目を得点化してリスクファクター指数とし、免疫機能との関連性について解析した。 その結果以下のことが判明した。(1)昨年実施した同一集団である某放送局および地域住民に対して健康に関わる聞き取り調査とPHA反応の測定を再度実施したところ、昨年と同じ特徴が認められた。PHA反応の低下に伴い、細胞免疫を増強させるインターフェロンγ(IFN-γ;Th1型)産生量の低下と抑制的に働くインターロイキン4(IL-4;Th2型)産生量の亢進が認められた。(2)今まで集積したデータを総合的に解析したところPHA反応とリスクファクター指数との間に逆相関が認められた。また、IL-4産生量の多い人は喫煙量やストレス関連症状・疾患が多いことが認められた。(3)PHA反応の低い集団に対しカウンセリングを行った後、再度PHA反応の測定をしたところPHAの上昇とともにライフスタイルやストレス対処行動が改善されていることがわかった。 これらの結果から、PHA反応やIL-4産生など免疫機能測定は個人や集団の健康度を評価する為の有用な指標のみならず、ストレスをコントロールするための指導指標として有用であることが判明した。

2. 運動習慣と白血球DNAの酸化的損傷
 日常の運動と活性酸素障害との関係を明らかにする目的で、白血球DNAの酸化的損傷(8-ohdG)量、活性酸素を代謝する酵素である赤血球SOD活性と日常歩行量との関係を調べた。日常歩行量と白血球8-ohdG量は、約11,000歩で頂点を持つ逆U字型の曲線に回帰でき、一方、赤血球SOD活性と白血球8-ohdG量とは逆相関が見られた。 これらのことは、活性酸素による障害は日常の運動量がある量までは比例するが、それ以上では逆に減少することを示しており、日常の運動がある量以上では酸化的損傷に対する防御系が活性化されることが示唆された。