平成7年度『勤労者の生活活性度評価事業』報告書概要(その3)




III] 質問紙の解析


1. 地域住民の生活と老後の生きがい
 男性については、専業農民は他の職業に比べると、実労働時間も長く、休日も少ないが、精神的きつさを感じる者は最も少なく、仕事を面白く思っている者、生活の充実感を感じる者が多い。老後の生活設計を建てている者も最も多く、その内容は、生きがいとして仕事を考えていた。自営業者も同様な傾向であるが、精神的きつさを感じる者は専業農民よりは多く、起床時に前日の疲れを感じる者も多く、運動不足を感じる者も多かった。老後の生活設計の内容では、生きがいとして趣味・スポーツや社会活動・ボランティア活動にも目が向けられていた。また、勤労者は、専業農民とは逆の傾向がみられ、睡眠時間は少なく、老後の生活設計の内容では、趣味・スポーツを考えている者が多くいた。
 一方女性では、多くの面で男性と同様な傾向がみられるが、幾つかの違いが見られた。仕事の面白さでは職業による差は認められず、家事や育児の負担を感じる者が自営業者で他の職業より多かった。睡眠時間でも職業による差は認められなかったが、起床時に前日の疲れを感じる者が勤務者で多かった。自営業では生活の充実感を持っている者が他の職業に比べ少ないのは男性の場合と対照的であった。老後の生きがいの内容では、どの項目においても、考えているとの答えの少ないのは勤務者であった。

2. 質問紙調査にみる中高齢女性の生活習慣と健康
 地域住民の女性(30〜79歳)を対象として、日常の生活習慣や悩みについて、自覚的な健康感、起床時の疲労感、生活の充実感の面から解析した。食事習慣では、朝食をいつも食べ、食事時間が規則的な者は、起床時の疲労感が少なく、生活の充実感があると感じている者が多い。睡眠時間が多くなるに従い起床時の疲労感を訴える者は少なくなるが、生活の充実感をもつ者の比率は8時間台でもっとも高い。運動不足と感じている者では、健康感の不調な者が多く、起床時の疲労感を訴える者も多く、生活の充実感をもつ者が少ない。 運動・スポーツを実践している者は、健康感は良好で、起床時の疲労感が少なく、生活の充実感をもつ者が多い。趣味と生活の充実感とは密接に関連しており、趣味の効果は40〜60歳台で特に大きい。経済的な悩みを持つ者は、健康感の悪い者も多く、起床時の疲労感もあり、生活の充実感を持たない者が多い。家庭内の人間関係に悩みをもつ者では、健康感の悪い者、起床時の疲労感をもつ者が多い。健康上の不安を抱いている者や老後の不安を抱く者は、ともに、健康感の悪い者、起床時の疲労感を持つ者が多く、生活の充実感を持つ者が少ない。

3. 仕事の負担感と仕事の面白さ・生活の充実感
 製造業、商社、銀行、放送局に勤務する中高齢男性労働者を対象とした質問紙調査の回答から、仕事の負担要因と仕事の面白さおよひ生活の充実感との関係について分析した。仕事の負担要因としてきつさ感、繁忙感、勤務時間、職場の人間関係の4要因を取り上げた。きつさ感が強くなると仕事が面白くないと面白いの両者が増加するが、逆に、仕事がらくと回答する者では、面白くないが多く、面白いが少ない。繁忙感と仕事の面白さでは、きつさ感と同様な傾向を示した。勤務時間では、10時間で面白いが最も多く、逆は少ない。また、職場の人間関係の善し悪しは仕事の面白さと密接に関連していた。
 これら仕事の負担要因と生活の充実感との関係は仕事の負担要因と仕事の面白さとの関係と同様な傾向であった。今回対象とした中高齢男性勤労者では、仕事とは独立しているはずの生活の充実感が、仕事要因により強く規定されていることを示した結果であった。